最近赤ちゃんの貧血が多いような気がします。
青い(または緑色)光線を浴びている赤ちゃんを見たことはありますか?あれは新生児黄疸の治療です。新生児期に強い黄疸(間接ビリルビン)があると、それが脳に移行し核黄疸となり、赤ちゃんに頭の障害を起こすことがあります。本来人間の脳には、危険な物質が入らない仕組みがあるのですが(脳血液関門:BBB)、新生児では、まだ十分に働かないのです。間接ビリルビンという黄疸の物質が、脳の中に入ると、大脳基底核などの部位が黄色く染まります(だから核黄疸)。その結果脳神経が死滅し、脳性マヒや死亡につながります。
そうならないために光線で直接ビリルビンを分解します。これを光線療法といいます(核黄疸になった赤ちゃんを知っています。親御さんの方針で光線療法を行わなかったのですが、その赤ちゃんは脳性マヒになりました。)。黄疸が強い場合は、血液製剤を使ったり、血液の成分を入れ替えることもあります(交換輸血)。
母乳で育てている場合、黄疸が遷延することがあります。これは母乳の生理的な現象で、「母乳性黄疸」といいます。母乳性黄疸の原因は核黄疸を起こしたのと同じ直接ビリルビンです。しかし、血液脳関門は正期産であれば生後二週ぐらいで機能しますので、母乳性黄疸が核黄疸を引き起こすことはまずありません。生後二ヶ月くらいで、母乳性黄疸は消失します。また、「母乳性」なので母乳をやめれば黄疸は消失します。
ただ、母乳性黄疸だから母乳をやめましょうというのは、残念です(やめるのは治療のためでしょうか?違う病気を鑑別するためでしょうか?)。母乳は人工乳よりも勝っていますし、母乳は一度やめると出なくなる人もいます。赤ちゃんにとっても母親にとっても、不要な断乳はいいことはありません。
ただ、気をつけないといけない黄疸に、胆道閉鎖症という病気があります。肝臓で作られた黄疸成分(ここでは直接ビリルビン)は普通胆道を通って、腸に排泄され、やがてはウンチの色になります。もし何らかの胆道が詰まると、直接ビリルビンが血液に流れるので黄疸になるのです。この状態が長引けば、肝不全となって今います。母乳性黄疸で大切なことは、この胆道閉鎖症と区別することです。ただ、母乳をやめなくても区別する方法はあります。
ひとつは、ウンチの色です。胆道閉鎖症の場合、ウンチの色の成分である直接ビリルビンが流れなくなるので、白っぽいウンチになります。ただ、色は個人差があります。ただ単に白っぽいとかクリーム色では分かりませんよね。こちらも見てください。胆道閉鎖症は早期手術が大切なので、気になったら早めに医師に相談しましょう。
http://www.city.sapporo.jp/eiken/org/health/biliary/card/card.html
それから、間接ビリルビンが原因の黄疸の場合、母乳性黄疸よりもやや緑色っぽいですが、そう簡単に分かるものではありません。採血して間接ビリルビン・直接ビリルビンを測定すれば、すぐ分かります。
大切な赤ちゃんのための大切な母乳です。大切に使いましょう。
http://www.e-clinician.net/vol45/no473/pdf/sp_473_16.pdf
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