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2011年6月19日 (日)

B型肝炎ワクチンについて

 日本では、B型肝炎のワクチンは母親がキャリア(感染者)以外は公費負担ではありません。選択的接種(セレクティブ・ワクチネーション)が行われています。

 一方で、日本よりもB型肝炎の発症率が低い国々の多くでは出生後すぐにB型肝炎ワクチンを接種します。原則として全員です。これが普遍的接種(ユニバーサル・ワクチネーションです)。

 日本のセレクティブ・ワクチネーションは、世界一般から見れば奇妙な対応です。

 その奇妙な方法を開発した人ので、B型肝炎のユニバーサルは麻薬対策だ、ということが書いてありました。

 果たして本当でしょうか?

 B型肝炎は感染しやすく母子感染以外にも普通の生活でB型肝炎が感染することが分かっているから、多くの国々ではユニバーサルワクチネーションを行うのです。

 日本でも、「祖父→孫→父」という家族内感染や、園内の感染というのが報告されています。母里先生は、園生同士で麻薬の回し打ちを行っていたとでも言うのでしょうか?

 B型肝炎ワクチンは日本でも普通に行うべきワクチンの一つです。残念ながら日本では、母子感染予防以外は自費ですし、単抗原ワクチン(海外では三種混合 DPT+ヒブ+不活化ポリオ+B型肝炎の六種混合ワクチンも普通にあります)ですが、出来るなら集団生活を始める前に受けておきたいワクチンです。

 当院ワクチン説明です。B型肝炎の項をご覧ください。

http://www.karugamo-cl.jp/fwd3/vaccine




 

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コメント

北朝鮮を含む180ヶ国でユニバーサル接種で、日本に来る米国人にも薦められているワクチンです。

 成人の場合には、なんど接種しても抗体ができないことがありますが、小児ならできやすのでしょうか?

小児では比較的免疫が付きやすいと言われています。ユニバーサル・ワクチネーションでは、免疫がついたか確認することは一般的ではないようです。

ただ日本の場合、小児は皮下注射しか適応がありません。ビームゲンならいいのですが、ヘプタバックスでは免疫がつかないかもしれません。

初めまして。
地方の公立病院で小児科をしているものです。
ユニバーサル・ワクチネーションに対して誤解しているところがあるように思えましたので、コメントさせていただきます。。

WHOは、HBVのキャリアが多い国では5歳時のHBVのキャリア率を2%することを到達目標として、その手段としてB型肝炎ワクチンを推奨しています(USAでは2007年に5歳時のキャリアが1.4%となって目標達成)。キャリアが減ることで、ユニバーサル・ワクチネーション対象年齢以外の急性B型肝炎発症率を減らす効果があったのは、ユニバーサルワクチネーションの副次的なメリットです。ユニバーサル・ワクチネーション行っている国では、確かに日本よりB型肝炎の発症率は低いかもしれませんが、日本よりB型肝炎のキャリア化の率が低い国というのはありません(USAもB型肝炎の発症率は少なくなっていますが、キャリアの数が日本より多いため未だHBV関連する肝硬変・肝癌で死亡する率は日本より悪いです)。

B型肝炎ワクチンとHBIgを組み合わせた日本のセレクティブ・ワクチネーションは、乳幼児期のキャリア化を防ぐことに関してHBワクチンだけの予防に比べて優れた結果を残しております。
現在、日本の妊婦のキャリア率が0.3%ととなり、乳幼児のキャリア率が0.01%を切ろうととしています。キャリアが減ることで水平感染の危険もすくなくなっています。B型肝炎は1999年以来全数把握の対象疾患になっており、2003~2008年の発生動向調査報告で10歳未満のB型肝炎の報告数はわずか11名です。
日本でユニバーサル・ワクチネーションで見込まれる成果とは、毎年100万人の乳児に10年間打ち続けて、10歳未満における0.000002%患者発生をほぼ0%近くに減らすことです。費用対効果が悪すぎるように自分は考えます。
またWHO推奨のユニバーサル・ワクチネーションということでHBIgを使わないのであれば、HBs抗原陽性妊婦からのキャリア化防止の失敗も増えてしまうというデメリットもあります。
さらに、ビームゲンにはチメロサールが入っています。水銀の乳幼児に対する毒性がまだ解明しきれていないなか、できるだけ入れたくない成分だと自分は考えます。チメロサールでのアレルギー反応も一定の割合で発生します。少ないメリットに対して、許容範囲のデメリットであるのかという問題もあるでしょう。
もちろん、性行為を行うようになれば水平感染のリスクが高まり、その年代へのB型肝炎発症予防に対してのユニバーサル・ワクチネーションの効果はすばらしいものがあります。しかし、キャリア化を防ぐという目的とはまた別問題として考える必要があるのは確かです。


もし、日本においてユニバーサル・ワクチネーションを行うとしたら乳児期でなく、10代前半に行うようにしたほうが自分としてはいいように考えます(もちろん、現行の母児感染防止事業も継続しながらです)。ただこれも、個人防衛に止めた場合との比較もしながら費用対効果を検討していく必要はあるでしょう。

お返事ありがとうございます。

 ただ、現在も乳児の父子感染例や園内感染の報告がある現場では、できるだけ早く、(キャリアが身近にいなければ)集団生活が始まる前に接種したほうがいいと思います。

 私自身、感染源不明キャリアのお子さんを診察したことがあります。ご存知のように若いうちの感染はキャリア化しやすく、早い対応が望まれます。

http://www.know-vpd.jp/hbv/index.htm

勿論、現行の母児感染防止事業も継続することは必要ですね。

お返事ありがとうございます。

Know VPDのご紹介もありがとうございます。
他のワクチンについてはおおむね賛同できるのですが、B型肝炎の推奨には賛同できません。
「ユニバーサル・ワクチネーションが世界の常識」と思考停止するのではなく、それぞれの地域の流行状況に合わせた何がより良い感染対策なのかを考えるべきだと自分は思います。
かつてはポリオの予防は、OPVが世界の常識でした。しかし、流行地域が限られてきた今の時代、ポリオの非流行地域にまでOPVを行うのは効果と副作用のバランスが悪いことと、予防効果は少ないがより副作用の少ない不活化ワクチンという選択の余地がでてきたことで「常識」は変わりました。先生がポリオの不活化ワクチンの自費接種をおこなっているのはそう考えたからではないのですか?
BCGも結核の流行地とそうでない地域では推奨が違っていますよね(USAがBCGを行っていないため勘違いして「世界の常識ではBCGは接種しない」といっている医師がいるのを時々みかけますが、世界的にはまだBCG接種国のほうが多いのが現状ですし)。
流行状況が変われば、それに合わせた感染予防策を講じるべきと自分は考えます。

幸い日本には小児B型肝炎の診療指針(日本小児科学会雑誌Vol.111, 7 1July 2008)があります。
最初の自分のコメントでのべた通り、集団生活を始めても感染のリスクが非常に少ないので、このガイドライに従ってセレクトしたほうがよいのではないでしょうか。

・家族内に感染者がいる場合は接種を推奨
・重度のアトピー性皮膚炎がある場合は感染リスクがやや高いので、どちらかというと推奨(2002年の佐賀県の保育園で23名の集団発生があった際に、キャリア化した子どものなかに重度のアトピー性皮膚炎の子どもがいたためこれだけ感染が広がったのではないかと言われました)
など

また、集団生活前の一律の接種の推奨は、以下の観点からも問題かと考えます。
・日本の小児を対象にしたガイドラインで、一律のB型肝炎ワクチンは推奨されていない
・家族内に感染者がいない場合、集団生活だけの感染リスクは非常に少なく、少ないとはいえ存在する予防接種の副作用とのバランスがとれていない
・小児のワクチンには、チメロサールをできるだけ減らすことが推奨されているが、日本のビームゲンには主に成人が対象のためビームゲンが減らす努力がされていない


>感染源不明キャリアのお子さんを診察
自分は1992年に医師免許をとっており、医師3年目に原因不明のキャリアをみたことがありました。
しかしここ10年以上は自分はもちろんのこと、医局の関連病院でも家族内感染以外の原因不明のキャリアの発生がでておりません。母子感染防止事業の成果だと考えております。
しかし、稀とはいえ原因不明のキャリアを診る機会があると、オーヴァー・トリートメント気味になるのは自分の場合でも十分あり得ることかなとは思います。

 IPVとOPVの比較ですが、現在のIPVは改良型で免疫獲得は比較的いいです。
http://bit.ly/9FRwWV
 むしろ、今まで日本で行われてきたOPV2回制度は今後問題になってくると思います。本来OPVは3回以上接種するものなので。

 一部で不要論が取りざたされていた日本脳炎ワクチンですが、沖縄で1歳の発症例が報告されました。極稀ですが、一度発症すると後遺症は深刻です。同じことがB型肝炎にも言えると思います。
 キャリアの幼児が、園などで謂れのない差別を受けた、という話も聞きます。キャリアもそうでない方もお互い安心して暮らせたほうが幸せです。

 長期間日本に滞在するアメリカ人にB型肝炎接種を薦められているのも、ひとつの判断材料になると思います。

 チメロサールの問題は、改めてブログで書きたいと思います。いま別の原稿を執筆中なので、お待ちください。

>本来OPVは3回以上接種するもの

なぜ世界的には、「本来3回受ける必要がある」と判断されていたのかを考える必要があります。
まずは日本のOPV2回接種法での0~5歳における抗体獲得率の調査結果をあげますね。
・1型では1 回投与で92.3%、2回投与で99.4%が抗体陽性
・2型では1回投与で89.7%、2回投与で100%抗体陽性
・3型は、1回投与で15.4%であり、2回投与85.8%
そして2回投与後64 倍以上の高い抗体保有者の割合です。
・1、2型は90%以上
・3型では46.9%
「接種者のポリオの発症を防ぐ」ことを目標に置くのなら、「64倍以上の高い抗体保有を目指すべきで、2回接種では3型の発症阻止には不十分」ということになります。しかし、「ポリオの流行の制御」ということに目標をおくのであれば「集団の8割以上に抗体ができる2回接種でも十分」となります。実際、この方法で日本は野生株のポリオの根絶宣言を出すという成果も出しています。
ポリオの根絶に失敗しているわけでもなく、かつ野生株の発症がない現在、ポリオ発症阻止を目標に置く3回接種でないことが今後問題となるとは、自分は思えません。

本来OPVは3回接種だが日本では2回のほうがいいかもしれないとか、もしくはIPVに変えたほうがいいかもしれないとか、流行状況によってどの接種法がいいのか考えるべき余地があるという例でポリオを話題にあげました。

>長期間日本に滞在するアメリカ人にB型肝炎接種を薦められている
USAはB型肝炎の中頻度汚染地(キャリアが2~8%)、高頻度汚染地域(キャリアが8%以上)に長期滞在する人に一律にB型肝炎ワクチンの接種を薦めております。そしてCDCが世界の流行状況の参考にしている元のデータは、WHOのデータです。しかしながらWHOのデータというのは、必ずしも適切にデータのアップデートが行われているとは限らないのはこれまた常識です。世界の流行状況を知るおおまかな参考値と考えたほうが適切です。
では日本における実際のキャリアはどうかとなると、やはり自国の統計を当たるべきでしょう。
2006年10月から2007年9月にかけての16~69歳のHBs抗原陽性者(日本赤十字献血センターの初回献血者から推定された値)は0.229%、16~20歳に限れば0.042%にすぎません。欧米に比べてキャリアの数は実のところ低いのです。
先生が「外国人が日本でかからない方法」で「日本でそんなに有病率が高いのか!!と正直思いますが」と抱いた感想のほうが正しいのです。
「長期間日本に滞在するアメリカ人にB型肝炎接種を薦められている」のを、判断材料の一つにするのは不適切と自分は考えます。

また、1997年の静岡県での調査で小学生のHBs抗原陽性者は0.05%で、乳児期からの推定キャリアの率がほとんど変わっておりません。
1987年から1992年頃の妊婦のキャリア率が1%弱だったことから母子感染事業の94~97のキャリア発生を抑制するというのは全国的に達成されており、キャリア家族内の発生のリスク変わらないなか、集団生活を経て20歳までに原因不明のキャリアとなるリスクが極端に低い事がわかります。
そして現在は乳児のキャリアが0.01%を切ろうとしているなか、家族内キャリアがいない子どもにワクチンをうつメリットは、ワクチンの副反応とかチメロサール含有などのデメリットをどれほど上回るのでしょう。

〉日本脳炎
ソウル五輪の準備時期に大々的にワクチン接種を進めたことで、韓国において日本脳炎の患者が激減しました。この時期の前後で韓国での栄養状態が格段の変化があったとは認められません。
人畜共通感染症であり、B型肝炎のように人の感染を抑えれば流行をコントロールできる疾患ではないので、ワクチンを止めれば人間にも再流行する恐れがあることが示唆されます。
ポリオ、B型肝炎のように人の感染だけを制御すれば根絶できる可能性のある疾患と違うので、ワクチンの接種方法について一概に同一視できないかと思います。
あと、日本脳炎は発症すると対症療法しかできないのに対して、B型肝炎は治療法も日々進歩しております。一度発症したあとの事態の深刻さの程度の違いも、これから差がだんだんでてくることが予想されます。

自分はユニバーーサル・ワクチネーションは基本的には賛成です。
GenotypeAの流行が今後定着し増加するようならするようならなおさらです。

DPT・Hib・肺炎球菌・B型肝炎の混合ワクチンが導入されるのなら費用対効果やチメロサールの問題も解決すると思っているのですが。
しかし、現時点の流行状況において乳幼児に対してビームゲンを使用して直ちにユニバーサルを開始するというのは抵抗があって、素直に賛成できないという立場です。

現行のビームゲンで行うのなら、本来のユニバーサル・ワクチネーションとは方法が違いますが、性行為感染防御にターゲットを絞って10代での全員ワクチン接種のほうが費用対効果がいいのではと考えております。

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