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2011年3月26日 (土)

東京都の水道水をミルクに使ってはいけないのか?再び。各学会の対応

この前の続きです。
 東京都の水道水もヨウ素が下がってきています。が、今後の動向には要注意です。

http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/w-past_data.html

 当初反応が遅いかな、と思っていた小児科学会ですが、今回の発表は比較的早かったと思います。

 日本小児科学会と日本周産期・新生児医学会、それに日本未熟児新生児学会の3つの学会で共同の声明を出しました(「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値 100Bq/キログラムを超過する濃 度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」に関する、日本小児科学会、日本周産期・新 生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解)。

http://www.jpeds.or.jp/pdf/touhoku_6.pdf

まとめは、

  1. 母乳栄養の児では、母親は制限なく食事を摂取し、母乳栄養を続けてください。
  2. 人工栄養の児では、ミネラルウォータを使用してミルクを調整することは可能ですが、煮沸し適温にしてから使用します。一部の硬水では、粉乳が十分に溶解しないことがあります。また、硬水には多くのミネラルが含まれており、乳児に過剰な負担を与える可能性があります。この場合には、水道水を用いる方が安全です。
  3. 離乳食を摂取している乳児では、水分摂取は離乳食からも可能なので、人工乳の量を減らすことは問題ありません。
  4. 人工乳のみを摂取している児で、代用水が確保できない場合には、通常通り水道水を使用して下さい。

 です。基本的には、赤ちゃんを水分不足に晒すな、ということです。

 どうして、ミネラルウォーターだと煮沸する必要があるかということですが、ヨウ素云々の話ではなくおそらく消毒用の塩素が入っていないための処置だと思います。それならば通常一分煮沸させてください。

 もう一つ、日本医学放射線学会のコメントです(妊娠されている方、子どもを持つご家族の方へ-水道水の健康影響について-(2011/3/24))。

http://www.radiology.jp/modules/news/article.php?storyid=912

 一番いいと思ったのは、以下のコメントです。

放射線防護専門医からのコメント
現在東京都では、乳児のミルクには、水道水を使わないことを推奨しています。しかし、他のお水を買えないからといって、不安に陥ることも、お母さんが自分を責める必要もありません。今回の濃度上昇は一時的なものです。必ず下がります。

一方で日本産婦人科学会のコメント(水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内)。

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110324.pdf

しかし、 胎児・乳幼児は成人に比べ被曝の影響を受けやすいとされており、被曝は少ないほど安心です。したがって、軽度汚染水道水以外の飲み水を利用できる場合には、それらを飲用することをお勧めします。

 たしかにそうかも知れませんが、こういう書き方をすると「やっぱり水道水以外のほうがいい」というメッセージについながり、ミネラルウォーターの買いだめ・富士山麓までの湧き水汲みにつながるのだと思います。

 ちょうど、水道水を飲むなと言いミネラルウォーターを配りながら、水道水を飲んでも大丈夫というのと同じではないかと思います。

 とりあえずは私の見解です。

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