同時接種に絡む阿部知子議員の発言
地震の前に遡りますが、3月9日に衆議院で阿部知子議員による、ワクチンに関する質問がありました。国会会議録検索システムで読むことができます。
上記から「簡単検索」を押し、日付を平成23年3月9日。発言者指定で阿部知子議員を選択します。そうすると、厚生労働委員会一件のみがヒットします。該当発言は、62番から69番までです。該当箇所をダウンロードして、載せてみました。太文字が私が加工しました。
- ヒブワクチンも同時接種も海外では大規模な疫学調査が行われ、乳幼児の死亡との因果関係は否定されています。大半がSIDSなどの紛れ込みです。
- 厚生労働省の副反応報告は、予防接種後に起こった全ての事象(有害事象)もひっくるめて報告されているので、報告は必ずしもワクチンのせいではありません。
- 単独接種が重なれば、それだけSIDSなどの紛れ込み件数も多くなります。
そういった事実をすっ飛ばしたように思える、阿部知子議員の発言です。気になったのは、以下の発言。
副大臣、これからまだ何回か再開まで会議
あと何回会議をすれば再開になるのでしょう?
なお、プレベナーのプレベナーの添付書は以下のサイトです。
177-衆-厚生労働委員会-4号 平成23年03月09日
○阿部委員 続いて、予防接種問題についてお伺いをいたします。
実は、きのうは、年金記録回復委員会と同時刻、先般五例報告されておりますHib並びにプレベナー並びに三種混合あるいはBCGなどの混合接種による死亡例五例を検証する委員会も開かれてございました。
お手元の二枚目の資料をごらんいただきますと、ここに、これまで挙げられた五例が一覧になっております。
去年の補正予算で補正がつけられて、そして、ことしに入って、各自治体、自治体も半分負担、でも国も半分負担ということで、破格にHib、プレベナー等々の予防接種はふえておるわけですが、始めた途端に相次ぐ死亡例の報告で、今、お母さんたちは不安だし、現場は混乱という中でございます。
さて、この表を見ていただきますと、一、二、四という事案は、実は、接種日と報告日の間には、接種して亡くなられて報告されるまで二、三日しかありません。ところが、症例の三並びに五は、接種を受けられてから、今回このことが大変話題になってから初めて事例として上がってまいりました。
これは、今、推奨、予防接種でいろいろ勧めておられますから、お医者さんからダイレクトエントリーでダイレクトに予防接種の、因果関係は別に、情報が上がるシステムはあると思うんですが、実は、この二例は、親御さんは一体何が起きたんだろうと思っていたんですね。だけれども、お医者様の側に、予防接種した人とお亡くなりになった赤ちゃんを診た人が違ったり、あるいは直に結びつけられなかった、わからなかった、もちろん因果はわからないのですけれども、そういう状況があります。
今後、予防接種も早い再開が望まれますが、親御さんが不安に思ったり死亡事案が出たりしたときに、厚生労働省の窓口、親御さんからも事例報告を上げられるような仕組みもあわせて検討されるべきと思いますが、いかがですか。これは一刻も早いアラームが次の行動を決めますので、御答弁をお願いします。○大塚副大臣 先生の問題意識はよくわかります。
今、医療機関からしか報告を受ける体制になっておりませんので、今後どのようにするか、しっかり考えさせていただきたいと思います。○阿部委員 再開時にはぜひそうしていただきたい。今、慶応大学でそういうダイレクトで受けるというのをモデルケースでやっておられます。
とにかく、予防接種は、健康なというか、そのときは元気な子に打って、結果は死亡。因果はわからなくても、そうなってしまった場合には、非常に混乱と不安と、そして親御さんはもう負い切れない不幸を負っていくわけです。
次のページをおめくりください。
ここには、今話題になっておりますプレベナーとかHib以外に、三種混合、今、組み合わせた相手の三種混合の方です、百日ぜき、破傷風、ジフテリア。もうずっと使われてきて、非常に安全性が高いと言われていますが、それでも、実は、毎年ぽつぽつと一例、平成六年から二十二年まで八例の死亡事案の報告がございます。ただし、ことしは、二十三年はもう既に三種混合と一緒にしたのは三例死亡事案になっておりますので、さらに非常に頻度は高いのです。
この八例のうち、これは副反応かもしれないと報告されたものです、では、副作用の被害救済によって救済された数はどれくらいかというと、約半分でしかありません。四例。一対一にどれが救済されたということは、これは原局もおわかりじゃないということでしたが、他の救済機構でやっている数とこちらを並べますと、半分なんですね。
今度のケースを考えますと、今、きのうも委員会がありましたけれども、確かに因果関係は肯定も否定もできないといった場合に、厚生労働省として積極的に救済に動くのか。因果関係というのは本当に難しいんです。確実に間違って接種したりすれば別ですけれども、疑わしきは救済するのか。それとも、この八例のうち四例しか救済されていないということは、これは国民が知ったら、予防接種をやって、救済制度はあるけれども実際は半分なんだと思ったときには、またすごく不安とそして混乱が広がります。本当に難しいと思いますが、ぜひ、疑わしい、否定できないというものは救済していくという、特に今回、五例は自治体も深く憂慮しておられますから、この点についていかがでしょう。○大塚副大臣 これは大切な点でありますので、基本的な今の考え方を御説明させていただきます。
まずは、今回の接種もそうでありますが、ワクチン接種の緊急促進事業として行ったものについては、その実施主体である市町村に、もし万が一にも何か被害が出てきた場合に救済をし得るように、民間保険に加入していただくことを義務づけているということが一つ事実としてございます。原則としてはその中で対応していただくということでございます。
しかし、万が一、医薬品が適正に使用されたにもかかわらず発生した副作用によって何らかの問題が起きた方々を救済する必要がある場合には、PMDA、医薬品医療機器総合機構による救済制度が整備をされております。○阿部委員 そういうのを官僚答弁というんですよ、申しわけないけれども。私が言ったことをよく聞いてください。グレーゾーンが多いんですよ。そして、医薬品副作用の方で救済されなかった場合に、自治体だけで救済なんかできないですよ、因果はないというふうになっているんですから。そんな冷たい行政をやっていたら、予防接種なんか進められないですよ。
そして、今おっしゃった、救済額も違いますし、だけれども今度は絶対忘れていただきたくない、国が積極的に期限を区切ってやっていることなんですね。私が明確にしていただきたいのは、大半がグレーゾーンなんですよ、因果なんか特定できない、だけれども否定できないんですよ。そういうものへの基本的姿勢を、副大臣、それは政治の言葉で言ってください。○大塚副大臣 阿部先生と問題意識は全く一緒でありますので、そこは、被害に遭われた方々の実情とお気持ちをしっかり踏まえて対応をさせていただきたいと思います。
その上で、しかし片方で、このワクチン接種でどのような被害が起きたということについて因果関係と関係なく対応するということは、これもなかなか難しい面があるということだけは御理解をいただきたいと思います。○阿部委員 そんなことはだれも言っていません。ただ、接種後二日で明らかに死亡事案が多いんですから、その現実を踏まえないと、そういうことじゃ予防接種は再開できないですよ。
次に、再開に際して、ぜひ留意点でお願いいたします。
資料の最後には、プレベナーという肺炎球菌ワクチンの、この間イレッサで問題になりました添付書がつけてございます。このプレベナーの方はまだ日本で発売承認されて一年ほどのものでありますが、私は、今回の予防接種のやり方は、三種混合プラスプレベナープラスHibプラスBCGプラス、もうカクテル、ミックス、何でもありよ、さあとやったことが、ちょっと前のめり、つんのめりであったと思いますね。
このプレベナーの添付書を読んでいただくと、例えば二枚目の右半分の中ほどに注の五というところがあります。これは実は、例数は少ないのですけれども、国内で治験をいたしますね。そうしたときの副作用でいろいろ挙がってくる、何か百とか二百の治験例なんですよ。でも、注意していただきたいのは、注の五、無呼吸を発症した症例では、ほとんどの場合、他のワクチンと併用接種されており、また、無呼吸、感染症、けいれん等の既往歴があり、早期産児、未熟児ですね、早く生まれた赤ちゃんであったとされていると。
これは一言の注意書きなんですけれども、私たちがこれを医者として読むとどう思うかというと、ああ、やはり、とりあえず、もしやるとしても、障害のあるお子さんとかはすぐ一緒くたにほかのものとあわせてやるんじゃなくて、慎重に場数を踏んで急がば回れ、だって同時接種の利便性は、いいのは利便性だけなんです。それから、医者も何回も来て打ちたくないけれども、でも何カ所か打たなきゃいけないんだから。
私は、たったこれだけの小さなノーティスだけれども、でも、やはりすごく重要なことを言っていると思うんです。再開時にぜひ検討していただきたい。やはり単独で一つずつ再開をまず考えていただきたい。乱暴だったと思います。例数が積み重なってないからですよ。
それと、特に障害のあるお子さんについては、障害があるから肺炎になったり髄膜炎になったりしやすいから注意は必要なんです。でも、丁寧に接種するという気持ちが予防接種行政にないと、五例のうち、実は二例ないし三例が障害の原疾患をお持ちのお子さんなんですね、今回。
そういうことをかんがみたときに、ぜひ本当に安全性第一、だけれども、子供を守る予防接種行政は進めるというその細いはざまを行くわけですから、副大臣、これからまだ何回か再開まで会議があるそうですが、ぜひ一つ一つ例数を重ねていただきたいが、どうでありましょう。○大塚副大臣 先生の御指摘をしっかり踏まえて、慎重に検討させていただきます。
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