« 破傷風について | トップページ | 百日咳とポリオのつぶやき »

2011年2月12日 (土)

ポリオワクチンの打ち方(OPV/IPV)

 IPVを接種できるところがだいぶ増えてきました。

 先日、こんなメールが来ました。許可を得て、転載しまています。

■不活化ワクチン接種後、

生ワクチン接種者から二次感染するのでしょうか?

我が家では、ポリオの予防接種にあたり、不活化ワクチン接種に
傾きつつあるのですが、妻の友人が、かかりつけの小児科医から、

「不活化ワクチン接種後は、生ワク接種後に排菌している赤ちゃんから
二次感染することがある。ここが欧米であれば、周囲はみな不活化
ワクチンを接種しているのでよいが、日本では、周囲に生ワクチンを接種した
乳幼児が多いので、不活化ワクチンの接種はいかがなものか。」

と、聞いてきたとのことでした。

私は専門外なのでわからないのですが、この情報が確かなものであるのか
どうか教えていただけないでしょうか?

 もし、生ポリオワクチン(OPV)を接種したお子さんから不活化ポリオワクチン(IPV)を接種したお子さんにポリオが移る可能性を考えるのであれば、ポリオワクチン未接種のお子さんのことを考えなくてはいけません。日本全国同一年齢のお子さんに、同日一斉にOPV投与はしていません。また、ポリオワクチン未接種のお子さんは登園禁止という園もないはずです(ありましたら教えてください)。宝樹先生のサイトも参考になるでしょう。

http://ebisu.net/faq/faq.cgi?kate=ipv&faq=7

地域での生ポリオワクチン集団接種が始まりますが、不活化ポリオワクチンで大丈夫でしょうか?

現在日本では、集団接種で生ポリオワクチン(OPV)
を飲んでる子が同じ日に全国一斉に飲んでる訳ではありません。同時に飲んでない子がいくらもいます。生ポリオワクチンを飲んだ子は保育園登園禁止になりません。OPV飲んでない人が生ポリオワクチン麻痺(VAPP)になったのは、この10年間で1人です。
この10年間で生ポリオワクチンで麻痺は(VAPP)10人、飲まないがVAPPになった人が1人。
野生株のポリオウィルスは0(ゼロ)です。

もう一つ、

■対策の確認

先生のブログによれば、
===
6.対策は三つ
?自費でIPV2回以上その後公費負担でOPV接種。

あわせて合計4回する(も
ちろん、IPVのみで4回も可能)
?OPVを併用する場合、OPVによる麻痺(VAPP)を少なくするために先にIPV
をする(2011.11.15追加)。
?ポリオワクチン未接種者あるいは抗体が低い昭和50-52年生まれの人は、
積極的にIPVを接種する
?早急にIPVに切り替えるように、学会・行政に働きかける。
===
とありまして、先生のご提示された、
「不活化2回以上、その後生ワクチン接種、合計4回」
という方法に興味をもっております。

上述の、友人を通した情報が確かなものであるとすると、
不活化のみを接種した場合には、二次感染の問題がありますが、
この方法を取れば、その問題に対する解決にもなるのでしょうか。

 どうやってIPVを接種するかは、色々と議論があります。私自身も少しずつ考えが変わってきています。改めて書きます。

 どうしてIPVに変更するかといいますと、ワクチンによる麻痺を防止することと、ポリオウイルスそのものの根絶(これについては後述します)です。

 アメリカではIPVが開発された当初、IPVX2のあとOPVX2(合計四回)を行う、その後緩やかにIPVのみに移行するという方法がとられていましたが、予定を早めてIPVX4という IPV only に移行しました。これは、移行期にも麻痺例が報告されたからです。

 私の知る限り、IPV二回接種後のOPVで麻痺を起こしたという例はないと思います(原理的には可能性のある事なので、間違いがあったら指摘してください)。どうして麻痺が起こったのかですが、先にOPVを接種する例や便から排出されたワクチン株が免疫の少ない保護者などに感染した例があったからです。いずれにせよOPVを使い続ける限り第三者への感染は避けられず、IPVの移行は必然でした。いまもOPVとIPVを併用してる国もありますが、早晩IPVのみに移行するでしょう。

 上の件と重なりますが、OPVを使い続ける限りワクチン由来ポリオウイルス(Vaccine-derived polioviruse: VDPV)は存在し続けます。悩ましい事に天然由来のポリオウイルスが根絶しても、ワクチン由来のポリオウイルスは根絶できないのです。実際、天然には存在しない型のポリオウイルスで麻痺を生じた例があります。まさにポリオワクチンによる麻痺はVPD(ワクチンによって防げる病気)なのです。

 話は戻りますが、ポリオワクチンによる麻痺を予防するという意味では、IPVを四回行うのが最適です。接種方法はいくつかの方式があります。ふたばクリニックの説明が素晴らしいです。

不活化ポリオワクチン(有料接種)ふたばクリニック:東京都世田谷区三軒茶屋

 ただ、今のところIPVは接種できるところが限られています。交通費もかかるし四回負担を強いるのは心苦しいときがあります。そういった場合IPV二回(三回)接種後OPV二回(一回)もありうるのかと思います(あくまでオプションです)。OPVを使用する場合は、以下の事に気をつけてください。

 同居人がちゃんとポリオの免疫を有している事を確認してからOPVを接種させましょう。昭和50ー52年生まれの人はポリオの免疫が低い事が知られています。該当年齢や何かしらの原因でポリオワクチンを接種していなかった人がいる場合は、OPVを避けた方がいいです。

« 破傷風について | トップページ | 百日咳とポリオのつぶやき »

ポリオ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ポリオワクチンの打ち方(OPV/IPV):

« 破傷風について | トップページ | 百日咳とポリオのつぶやき »

2020年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
無料ブログはココログ

最近のトラックバック