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2011年1月 4日 (火)

年頭の挨拶:真のワクチン元年になるのはいつ?

この一年、ワクチンを取り巻く環境は大きく変わりました。

髄膜炎ワクチンと呼ばれるヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン(PCV7)のみならず、俗称で子宮頸がんワクチンといわれるHPVワクチンが公費化される予定で、一部地域ではすでに行われています。IPV(不活化ポリオワクチン)も各種メディアに取り上げられるようになりました。

しかし、どうも釈然としません。


よく、ワクチン無料化と言われますが、正確には公費負担です。財源が必要ですが、医療資源には限りがあります。


水ぼうそうの治療薬は一般的には高価なのです(通常であれば薬がなくても自然治癒する病気です)。しかし、乳幼児の医療費無料化(正確には公費化)が進む今、直接家計に響くことはありません。しかし、水ぼうそうのワクチンである水痘ワクチンは8000円程します。通常は全額自己負担で、財布を直撃します。

どうして、細菌性髄膜炎のワクチンおよびHPVワクチンが公費負担になり、従来からあるおたふく、水ぼうそう、それにB型肝炎のワクチンは公費負担はないのか、理解に苦しみます。新たに公費負担が決まった三つのワクチンは高価で複数回接種する必要があります。当然のことながら公費負担は高くつきます。公費負担から外れたワクチンは水痘ワクチン以外は安価で、公費負担化しても自治体の負担はそう重くないはずです。

限りある医療資源を有効に使うにはどうすればいいか、という哲学がないまま、話題に乗って進められたのがHPVワクチンの公費負担のように思えます。その後ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンも公費負担のリストに乗りましたが、その他のワクチンは置き去りです。

あれ程マスコミでも話題になったIPVですが、まだ普通に接種できません。

新しいワクチンが話題になるほど、以前からあるワクチンが忘れ去られて行く気がしてなりません。一歳になったら麻疹ワクチン(MRワクチン)を接種するのは大原則ですが、最近は細菌性髄膜炎のワクチンを優先させる人が増えて来たように思えます。インフルエンザワクチンを接種する為にMRワクチンを遅らせて接種する施設も時々あるようですが、先月岡崎市で麻疹の報告例があった事が気になります。

同じ理由でDTPの接種が遅れている人もいます。百日咳が地味に流行している今、細菌性髄膜炎のワクチンをDTPよりも優先させる理由はありません。同時接種にするべきなのですが、「三つの同時接種は腫れる、みんなしないと言っている」という医学的根拠のない「指導」が行われている所もあると聞きました。

真のワクチン元年と言える日がくるのはいつでしょう?と呟きながら、年頭の挨拶と致します。m(_ _)m

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