« No. 19 子守帯(スリング)内での心肺停止 | トップページ | 子どもを「遅寝遅起き朝御飯なし」のリスクに曝す権利はない »

2010年12月 9日 (木)

あかちゃんのワクチンの接種部位は太ももでOK(そっちのほうがいいかも)

最近ブログのアクセス数が増えています。ポリオワクチンがらみのことでしょう。

テレビだけではなく、Yahoo! ニュースでも取り上げられました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101208-00000536-san-soci

 ここの写真を見て、驚かれた方もいるかもしれません。

 ふとももに注射しているのです!!(゚ロ゚屮)屮

 でもこれが普通なのです!!

 以前お話したように、海外では普通は筋肉に注射します。もう少し詳しく書くと、不活化ワクチンでは、免疫を増強させるためにアジュバントが必要です。アジュバントがあると腫れやすいので、副反応を軽減させるために皮下注射よりも深い筋肉に接種する必要があるのです。また、B型肝炎の場合効果からも筋注がいいです。

 不活化ワクチンは三種混合の他にも、アクトヒブ(Hib)、プレベナー(肺炎球菌)、B型肝炎ワクチンなどがあり、本来は筋注です。同じ不活化でもポリオワクチン(IPV)は、皮下注射の場合もあります(ここ訂正)。

http://keijihagiwara.blogspot.com/2010/01/blog-post_3472.html

http://www.immunize.org/catg.d/p2020.pdf (一歳以上での皮下注射部位が、少し上すぎるかな?)

  成人や大きい子供の場合は、三角筋に接種します。赤ちゃんの場合、三角筋の量が少ないことや二の腕(上腕)の面積自体が小さいこともあり、海外では太もも(大腿)の筋肉(外側広筋)に接種するのが、普通です。

 日本では筋注のトラウマもあり、なかなか筋注が進みません。海外では普通に筋注をする、三種混合、アクトヒブ、プレベナー、B型肝炎ワクチンも皮下注射のままでした(新生児のB型肝炎ワクチンは筋肉注射がおこなわれている場合が多いようです)。

 しかし、乳児のワクチンが日本でも増え同時接種が進む中、狭い二の腕に何本も打つのは大変です。

 手順を間違えなければ、同時接種したから副反応が強くなる・腫れやすくなるということはありません(そういう説明をする人がいたら注意したほうがいいです)。こども達の利益を考えるならば、1歳未満の乳児のワクチンは太ももに接種(必要あれば筋注)したほうがいいと思います。

« No. 19 子守帯(スリング)内での心肺停止 | トップページ | 子どもを「遅寝遅起き朝御飯なし」のリスクに曝す権利はない »

ワクチン」カテゴリの記事

コメント

 抗原提示細胞が皮膚や皮下組織に多いので、皮下注射や皮内注射がいいと思っていました。抗体を作る際にも、動物の皮膚への注射がいいと教わりましたが、違うのでしょうか?

こんにちは、一般的には免疫の出来方は、
皮内注射>筋肉注射>皮下注射
 だと思います。アメリカでインフルエンザワクチンが不足したときに、
少量の皮内注射を検討したことがありました。実際にそうしたかは不明です。
http://www.nobuokakai.ecnet.jp/5093.html

 皮膚の抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞は表皮にあります。それが皮内注射で良い免疫反応が得られるのと関係があるのかもしれません。

先生のブログを見て、勉強させていただいております。
大変有益で、感謝いたします。

ご相談なのですが、
下の子が、ただ今、4ヶ月で、①DPT・肺炎・ヒブの1回目と、BCGが接種済。
近日中に、①の2回目予定です。

4月より保育園に通いますので、①の3回目終了後、3月にMRを自費にて予定しています。
B型肝炎も考えているのですが、
先生のブログで皮下注射でないと免疫がつきにくいことを学びました。
かかりつけの小児科医は、MRはやったほうがいいとのことでしたが、
B型肝炎については、何もおっしゃらず、親の判断次第という状況です。
家族は全員ノンキャリです。
私自身の考えでは、1~2年後でもよいのかなとも思いますが、
先生の見解をお聞かせいただけませんでしょうか?

ちなみにIPVは、上の子(4歳)がOPV2回済、妻が昭和50年生まれでOPV2回済のため、
全員まとめてできるようにスケジュール調整中です。
下の子のインフルエンザも3月よりやります。
保育園入園後の4・5月は病気で欠席する子供がたくさんでますし、
予防可能なものは、親の義務としてやってあげたいと思っています。

お忙しいところ、大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

おはようございます。

 MRワクチンは麻しんワクチン単独でもいいと思います。最近麻疹は流行が抑えられているので一歳前の麻しんワクチンはあまり勧めていませんでしたが、岡崎市での麻疹流行が気になるところです。今後の麻疹流行状況を見て、勧めるようになるかもしれません。

 B型肝炎は、もしするのであれば入園前にしておいてもいいと思います。こういったあいまいな書き方しかできないのは、乳幼児へのB型肝炎ワクチンの関心は最近出てきたばかりで、小児科医でもかなりの温度差があるからです。クリニックによっては断られるかもしれません(実例あり)。ただ、したほうが確実にいいですし、探してください。

 ただ、IPVを含めて上記のワクチンはすべて自費です。ましてIPVを家族です複数回するとなると、かなりの金額になります。世田谷2児パパさんのような状況の人は、たくさんいらっしゃると思います。しかし、同じワクチンを同じように打てない人がいるというのは悩みです。健康格差です。

おはようございます。
丁寧なご回答、ありがとうございます。

B型肝炎、2人の子にやることにしました。
かかりつけの小児科医は、積極的にはお勧めしないけれども、
こちらの希望であれば、やってくださるとのことでした。
筋肉注射についても尋ねて見たいと思います。
せっかくやっても抗体がつかなくては、全く意味無いですよね。

先生のブログで皮下注射でないと免疫がつきにくいことを学びました。←間違いでした
先生のブログで筋肉注射でないと免疫がつきにくいことを学びました。←正解

時々遊びに来る妹が妊娠する可能性があるため、麻疹単独ワクチンではなく、
MRにしようと思います。

度々の質問で大変恐縮なのですが、おたふくと水痘は、2回接種したほうがよいのですか?
どうぞよろしくお願いいたします。

おはようございます。
まず、日本のB型肝炎ワクチン(ビームゲン)の添付文書には、

B型肝炎の予防 通常、0.5mLずつを4週間隔で2回、更に、20〜24週を経過した後に1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。ただし、10歳未満の者には、0.25mLずつを同様の投与間隔で皮下に注射する。
ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。

と書いてあります。ですので、皮下か筋肉かは、相談してみてください。微妙な言い回しですが、皮下でもしないよりはましです。筋肉注射でも免疫がつかない人がいるのですから(nonrecponder)。

おたふくと水痘は自然感染が少なくなった今、追加接種は必要だと思います。しかし、急ぐ必要はないと思います。

いつもお世話になり、大変感謝いたします。

先日、ビームゲンの1回目を終えました。接種方法は皮下でした。
筋肉注射のことを尋ねてみましたが、
添付文書記載の用法どうりに接種しますとのことでしたので、
素人の私が、Drに対して指示・要望するということは、なかなか難しいことで.....

Drの立場としても、用法を守らず、万が一、副作用が強く出た場合等、
責任の問題もあるので、仕方が無いかなと思います。

子どもの貧血・鉄補給の記事も読み、早速、
下の子に1日1回粉ミルクを与えるようにしました。
ありがとうございます。

今回、再認識したのは、政治・行政はあてにならず、
麻しんワクチンをやらずに保育園に通わせる親もいる中で、
自分の子を守れるのは自分だけということでした。
先生のご尽力、大変尊敬いたします。
先生の講義を聴講できた方々は、非常に恵まれていますね。
うちの子が通う保育園でも、子供が在園の小児科の先生いないかなと思いました(笑)。

こんにちは。
筋肉注射の件は、世田谷2児パパさんや担当の先生を混乱させて申し訳ございません。
三種混合やヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンなど、本来筋肉注射で行うべきワクチンは
腫れなどの副反応を抑えるためなどに「筋肉注射に近い深さで皮下注射」することはあります。
しかし、私たちはルールに則ったワクチンする必要があるのです。ただ、筋肉注射にするべき注射は
筋肉注射にする計画はあるようです。

あと、母乳は可能な限りでいいので続けてくださいね。

よろしくお願いします。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

« No. 19 子守帯(スリング)内での心肺停止 | トップページ | 子どもを「遅寝遅起き朝御飯なし」のリスクに曝す権利はない »

2020年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
無料ブログはココログ

最近のトラックバック