男の子を持つお母さんの悩み・包茎と「むきむき体操」について
子どもの包茎の治し方で、「むきむき体操」というのがあるそうです。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101108-00000026-pseven-soci
父親や医療従事者にとっては笑い話に思えるかもしれませんが、若いお母さんには深刻な問題です。包茎に関する知識もないし、ネットを開ければいろいろなことが書いているし・・・お母さんは不安でいっぱいになります。
手で剥かなくてはいけないのか・手術をしないといけないのか・薬をつけないといけないのか・ほっておくと病気になるのではないか・・・悩みは尽きません。
男の子は若いうちはみんな包茎なのです。これは、恥ずかしいけれど声に出して言いたいです。包茎のない赤ちゃんのほうが、返って心配だったりします。多くの場合自然と剥けてきます。
治療をしたほうがいいと思われる場合は、二つです。まず、頻繁に亀頭包皮炎を繰り返す場合。包皮と亀頭の間にばい菌が入り感染するのです。包茎のため、ばい菌が排出されにくくなるのですね。剥ければ、亀頭と包皮の間も洗いやすくなります。
もうひとつが、おしっこを出すときに問題がある場合です。包茎のため、包皮と亀頭の間におしっこがたまり、袋状に膨らむ場合は治療したほうがいいでしょう。
「むきむき体操」を見てみると、かなり強く引っ張っているのかなと思います。あまり引っ張りすぎると、嵌頓包茎になってしまいます。上の図をみると手で治せるように書いてありますが、手では治せなかったため鉗子(ピンセットの大きいの)で皮を引っ張って治したことがあります(これホント!!)。
ステロイド軟こうを先っちょに塗って軽く引っ張ってみてもいいのかなと思います。力を入れて、亀頭をこんにちわする必要はないと思います。剥くのが目的ではなく、包皮の先っちょを広げるのが目的という感じで。ステロイドで皮膚は薄く柔らかくなるので広がりやすくなります。あせらなくてもいいです。あくまで私見なので、医師と相談の上で行ってください。
「むきむき体操」を考えた、岩室紳也先生の、サイトです。
http://homepage2.nifty.com/iwamuro/
ここのページをよく読んでみれば、「子どもの包茎はすべてむきむき体操で治すべし」とは書いていないことがわかります。非常に含蓄のとんだサイトです。
しかしながら、「むきむき体操」で検索してみると、「子どもの包茎はムキムキしなくてはいけない」という思いで書いたとも思えるブログが散在します。「むきむき体操」がネット上に出て母親のムキムキに対する関心が上がり、不要なムキムキが横行したとも思われます。むきむき体操をする前に、本当に必要なのか考える必要があります。
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このようなものが流行っている事も知りませんでした。
男の子をもつ母親ですが、年頃になれば本人が・・・と思っております。
投稿: YUMIG | 2010年11月 9日 (火) 14時27分
次男が生まれて、おむつを替えていると、バルーニングしてオシッコが飛んできました。で、これはいかんと、ムキムキしてました。数日かけてゆっくりと。炎症を起こすとやっかいですので、バルーニングがあれば、剥くことを勧めるべきではないでしょうか?
小児の包茎で全身麻酔はストレスです。
投稿: タカ派の麻酔科医 | 2010年11月11日 (木) 12時05分
なかなかお返事できなくてすみません。
YUMIGさん、
若いお母さん全員が息子に行っているわけでないのですが、特に支障がない限り経過観察でいいのではと思います。
タカ派の麻酔科医さん、
確かに小児の全身麻酔はストレスですね。
バルーニング(排尿時に包皮と亀頭の間に尿がたまり、包皮が膨らむ)で問題になるのは二つあると思います。まずは亀頭包皮炎、それから、排尿時に圧がかかることで逆流腎症の可能性です。バルーニングははやく剥いてあげたいです。
投稿: atsushimiyahara | 2010年11月12日 (金) 09時52分