久しぶりのポリオと:日本小児科学会の返信と、昔の国産IPVについて
久しぶりのポリオです。
このブログでポリオについて書くきっかけとなったのが、恵比寿の宝樹真理先生(「しんり」です「まり」ではありません)と、上海の林啓一先生の呼びかけです。
合計で280名(そのうち日本小児科学会会員は162名)もの署名が集まり、日本小児科学会へ届けることができました。
その返信が10月10日に来ていました。読んでいて、腹立たしいを通り越して脱力であり、紹介するのも恥ずかしかったのですが、説明責任を果たさないといけません。これです。
海外の不活化ポリオワクチンの導入は当然議論されてよいし、生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンへの切り替えの時期には不活化ポリオ単独のワクチンが市場にあることがより望ましいと考えています。しかし、海外の不活化ポリオワクチンを、わが国における臨床試験なしに緊急輸入するには、その国民的な合意形成、海外メーカーとの交渉、接種ワクチン量の確保、万が一の場合の被害救済の方法など、その前に整えておくべき課題が少なくありません。今秋のポリオワクチン接種時期に混乱なく緊急輸入ワクチンの接種が進む状況にはありません。従って、低頻度ではありますがワクチン関連麻痩の発生リスクがある中でも、接種を継続しつつ、国(厚労省)にはできうる限りの努力と工夫で不活化ポリオワクチンの早期導入を図っていただきたく要望し、学会員には上記の状況のご理解を今般求めたところです。
国内メーカーの動きについて学会は、不活化ポリオワクチンの開発が遅れていることを早くから憂慮し、平成17年1月には日本ポリオ研究所から開発状況とその停滞理由について予防接種・感染対策委員会において経緯の説明を求めました。その後、日本ポリオ研究所が開発を断念し、他の複数メーカーがDPT-IPV混合ワクチンの開発に入ってからは、多くの学会員と子ども達がその臨床試験にご協力いただきました。現在複数メーカーによる第3相臨床試験が順調に進んでおり、その一部は今年度中に追加接種を含めて臨床試験が終了する見込みです。
平たく言えば、IPVは必要だけど国内メーカーが成熟するまでは、待ってほしいということでしょう。結局のところ変わりありません。安全性が確認されている海外IPVを使用し、順繰りに国産IPVに切り替えるということは出来なかったのでしょうか?去年の新型インフルエンザではGSKの海外ワクチンを輸入したのに・・・
話は変わりますが、以前日本でもIPVが開発されたことがありました。それが、OPVの輸入によって封印されてしまったのです。その経緯をまとめたところがありましたので、紹介します。世田谷でIPVの接種を行っている、ふたばクリニックからです。
http://www.futaba-cl.com/main10-31.htm
ポリオワクチンやワクチンに対するマスコミの対応について考えるときに、ぜひとも目を通しておきたいです。
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