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2010年11月27日 (土)

B型肝炎訴訟再び・B型肝炎ワクチンをユニバーサルで!!

 以前書いたB型肝炎訴訟の続きです。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010112600211

B型肝炎訴訟「議員立法で解決を」=参考人質疑で弁護団代表-衆院厚労委

 和解協議が難航するB型肝炎訴訟をめぐり、衆院厚生労働委員会は26日、全国弁護団の佐藤哲之 代表や肝炎の専門医らを呼び、参考人質疑を行った。佐藤代表は国側が無症状の持続感染者(キャリアー)への一時金支払いに難色を示しているのに対し、「議員立法で問題は解決できる」と訴えた。
 佐藤代表は、政府が目指す年内の基本合意にめどが立っていない現状に触れ、「加害責任の自覚が希薄で、被害者と正面から向き合っていない」と国の姿勢を批判した。
  国側はキャリアーについて、賠償請求権が消滅する「除斥期間」を過ぎたと主張しているが、佐藤代表は「形式的な理由で責任から逃れようとするのは正義に反する。議員立法で除斥の適用除外を考えていただければ問題はクリアできる」と述べた。(2010/11/26-10:57)

  この「加害責任の自覚が希薄で、被害者と正面から向き合っていない」という表現は、やくざの「誠意を見せろ」とあまり変わらないのでは、と思うのは私だけでしょうか?

 訴訟に関連した学生のサイトがありました、そこに驚くべきことが書いてありました。

http://orangesupport.web.fc2.com/about_btype/about_btype.html

また、「日常生活では決して感染しない」という正確な知識が広まらず、いわれなき差別や偏見にも苦しんでいます。仕事を失った人もいます。友を失った人もいます。

 

B型肝炎は日常生活では決して感染しないといえる医師はいません。

 

 弁護団のサイトで、裁判に参加できる条件を見つけました。
http://homepage1.nifty.com/ogurika/data/JHC/082HBVsosyou_QA.pdf

Q10.裁判に参加できる条件はなんですか。
A.裁判で国の責任を認めさせるためには,B型肝炎の感染原因が集団予防接種であることを 証明しなければなりません。つまり,集団予防接種以外の感染の可能性を否定しなければなり ません。最低限クリアしていなければならない条件は,以下のとおりです。詳しくは,別途お配り した「B型肝炎訴訟における提訴の条件について」をご覧下さい。

  1. B型肝炎ウィルスに持続感染していること
  2. 慢性B型肝炎等の発症から20年を経過していないこと
  3. 集団予防接種を受けたこと
  4. 昭和23年1月1日以降に集団予防接種を受けていること
  5. 生年月日が昭和16年1月1日以降であること
  6. 出生時にお母さんがB型肝炎ウィルスに持続感染していないこと
  7. 満7歳になるまでに輸血を受けたことがないこと

 「B型肝炎感染原因は輸血や母子感染以外は、すべてワクチンの回し打ちが原因である」ということはないのです。これは強く言いたい。

 B型肝炎ウイルスはエイズウイルス以上に感染力の強いウイルスです。軽く見てはいけません。母親以外での家族内感染の例もありますし、保育所で感染したという例もあります。

保育所におけるB型肝炎集団発生調査報告書について
B型肝炎の家族内感染例

 B型肝炎訴訟の原告団は、こういった事実は知らないのでしょうか?

 先ほど、「B型肝炎感染原因は輸血や母子感染以外は、すべてワクチンの回し打ちが原因である」と書きましたが、学生のサイトも参考にして換言すれば「普通に生活していればB型肝炎に感染することはなく、B型肝炎ワクチンは不要である」とも取れます。一通りB型肝炎訴訟弁護団のサイトを見たのですが、B型肝炎ワクチンのユニバーサルワクチネーションの必要性を説いたところはありませんでした(ありましたら謝罪し、見解を載せます)。

 多くの国々では、新生児にB型肝炎ワクチンを普通に接種しています(ユニバーサルワクチネーション)。日本よりもB型肝炎が少ないにもかかわらず行っている国もあります。原告団の希望通りにことが運んでしまえば、日本ではB型肝炎のユニバーサルワクチネーションが行われなくなってしまうかもしれません。

 確かに、ワクチンの回しうちによってB型肝炎に感染してしまったかたがたにはまことにお気の毒としか言いようがありませんし、何らかの形で救済されるべきです。しかし、今の原告団の方法は、現在のそれから未来の子供たちのことを考えれば危ういともいえます。

 アメリカやイタリアでは1991年にユニバーサルワクチネーションが行われ、成果を挙げています。原告の方々の年齢を考えれば、B型肝炎に感染したのは1991年前です。もし、B型肝炎ワクチンがもっと前に発明され日本でも普通にユニバーサルワクチネーションが行われていたらと思うことがあります。残念でたまりません。

 

 

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コメント

はじめまして。
私も、新生児へのワクチン全員接種に賛成です。
このたびの和解案に沿った補償額をねん出するために増税の可能性が示唆されましたが、私は生活に何の支障もなく治療も必要ない無症候キャリアにまでお金(何を救済するというのでしょう)をだすより今後のために税金を使ってほしいと思います。
原告団が国に感情で訴えるために肝炎に感染した悲劇を殊更に強調しますが、大多数の母子感染者はそれを親のせいだということはできませんし、悲劇ではなく誰にでも起こりうることと思い病気と付き合って生きています。誰だって病気になりたくてなるわけじゃありません。悲惨な面ばかり強調されるとこちらの気が滅入ります。

原告は命に格差を作るなとか、患者一律救済などと訴えているのであたかも患者全体の利益を考えているかのように世間は思っているでしょうが、母子感染者は対象外。患者間格差を作り出していることに気がついているでしょうか?彼らは自分たちの補償がほしいだけで崇高な目的は全くないように見えます。

私は補償がほしくてこんなことを書いているのではありません。
若いころ慢性肝炎が理由で職を追われたこともありますが、現在は自然にセロコンバージョンし普通に生活しています。出産もしました。まだウイルスが残っていますので経過観察で数か月に一度採血していますが肝機能は正常になってもう10年以上経ちます。

少なくとも、無症候キャリアに補償は必要ないと考えます。
ウイルスがいるというだけで「健康体」なのですから。
ことさらに病気の怖さを強調することで、他の肝炎患者まで就職しにくくなったり結婚に二の足踏まれたりという二次被害が起こりうるのです。
私は同じ病気の患者として、原告の主張やマスコミ報道に危惧を抱いています。
高額の補償金がでるとなれば母子感染であることを隠す人も出てくるでしょうね。
慢性肝炎を発症していれば1200万円です・・・私のように治療もせずほぼ治ってしまう人間もいるわけですが。

結婚するときには主人にワクチンを打ってもらいました。
妊娠した時、子への感染が起こったらどうしようかと悩みました。
産後すぐにワクチンは打ちましたが乳首が切れて血が出てしまった時、子へ感染したらどうしようかと本当に心配でした。
幸い結果的に自分が感染を広げる事態にはなっていませんが、ほとんどの人がワクチンを打っていてくれれば患者もそうでない人もお互い安心して暮らせると思います。
事故にあって意識が無い状態で私の血を介抱しようとした誰かが触ってしまったら・・・ということだってあり得るわけですから。

お目汚し、長文失礼いたしました。

原告として活動をしている患者の一人です。

ワクチン接種の義務化については賛成です。今後、恒久対策を求める上で出てくると思います。なかなかマスコミでは報道されないのが現状ですが。

ここで触れられている可能性については、裁判の中で充分に議論されています。2008年の最高裁判決で報告数から充分に低い確率であるという統計的な結論です。議論はその可能性が極めて少しでもあるから、全員を救わなくて良いのか、という点です。

母子感染の方については、ぜひお母様が予防接種での感染でないか調べて頂きたい。2次感染者も原告の中の大勢いらっしゃいます。また、全ての肝炎患者へのたいさくを求める活動も進めています。報道されないのが現状です。ご理解下さい。病状や仕事で活動していただける人も限られておりつらい状況ですが。

キャリアへの保障は我々はかなり不本意です。世の中はあなたのように強い人だけだけではありません。キャリアと解っただけで家庭を追われ、離婚に至った人など、周りの目によっては多くの悲劇が生まれています。決してあなたのお考えを否定するものではないですが、そういう人もいることを知って欲しいです。

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