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2010年9月17日 (金)

ポリオワクチンのまとめ

 これまでポリオのことを書いてきました。

 自分自身、まだポリオ患者さん(ポリオサバイバー)の人にお会いしたことはないのですが(見落としてきた可能性あり)。ブログやtwitterを介して、いろいろな方からいろいろな事を伺うこともできました。とても勉強になりました。

 かなり長くなったので、まとめを書いてみようかと思います。

  1. ポリオワクチンは必要。
  2. 現行のポリオワクチン(OPV)では、ごくまれに麻痺が起こることがある。また、ポリオワクチンのウイルスが野生化し、流行する可能性がある。
  3. 多くの国々では、不活化ポリオワクチン(IPV)を使用している。これならば麻痺の問題も野生化の問題もなし。
  4. 今の日本では、OPVしか選択できない。
  5. ポリオワクチンはOPVなら3回以上、IPV/OPVの組み合わせなら4回以上必要なのに、日本ではOPV2回のみ。
  6. 対策は三つ
  • 自費でIPV2回以上その後公費負担でOPV接種。あわせて合計4回する(もちろん、IPVのみで4回も可能)
  • OPVを併用する場合、OPVによる麻痺(VAPP)を少なくするために先にIPVをする(2011.11.15追加)。
  • ポリオワクチン未接種者あるいは抗体が低い昭和50-52年生まれの人は、積極的にIPVを接種する
  • 早急にIPVに切り替えるように、学会・行政に働きかける。

 多くの人がOPVをやめ代わりにIPVを選択し(今の日本でOPVもIPVもしないのは危険行為です)、署名活動をすれば、変わっていくものだと思います。

 少なくとも、OPVの未接種率が30%になれば厚労省も動かざる終えないでしょう。

 よろしくお願いします。

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ポリオ」カテゴリの記事

コメント

度々、おじゃまします。

「ポリオワクチンのウイルスが野生化し、流行する可能性がある。」は、可能性ではなく、実際に世界各国で起きています。

ワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行 2000-2009 (国立感染症研究所)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/30/353/graph/df35321.gif

IASR(国立感染症研究所 病原微生物検出情報誌) Vol.30 No.7(No.353)July 2009
に、ポリオの特集があります。
http://idsc.nih.go.jp/iasr/30/353/inx353-j.html

先程の、「ワクチン由来ポリオウイルスによるポリオの流行」の話を初め、各年齢層の抗体(免疫)の状況、河川や下水を調べたら、ポリオウイルスが検出されている件などの記事があります。

はじめまして。澤田石 順と申します。リハビリ病棟勤務の医師で、ポリオの会の方々とリハビリ日数制限反対でたたかってます。藤沢市でまたもワクチンによる発病があり、読売新聞が報道。
//引用開始
ワクチン接種の1歳女児、ポリオに感染

 神奈川県藤沢市保健所は17日、経口生ポリオワクチンを接種した市内の女児(1)がポリオに感染したと発表した。

 女児は5月14日の接種後、左腕にまひなどの症状が表れ、リハビリを受けているが、完全に回復するか不明という。

 厚生労働省によると、生ワクチン接種による感染は1999年以降、二次感染も含めて5例目。ポリオワクチンをめぐっては、まひの起きない不活化ワクチンの開発が進んでいる。

 同保健所によると、女児が感染したウイルスは国立感染症研究所がワクチン由来と確認。国内の予防接種で使われる生ワクチンは毒性の弱いウイルスが使われ、約486万回の接種で1人程度、まひが生じることがあるとされる。
(2010年9月17日20時35分 読売新聞)
//引用終了

驚いたのは440万人に一人との数値。長いのですが、報道関係者らに送ったメールを以下に引用します。

▼ポリオ生ワクチンによる発症についての数値は虚偽かミスか
 既にご存知のごとく、17日に神奈川県藤沢市保健所は経口生ポリオワクチンを
接種した市内の女児(一歳)がポリオに感染したと発表しました。何よりも驚愕
したことは、読売新聞の記事に生ワクチンによる発症は「約486万回に一件」
との記載があること。
 CDCは100万人に2~4人と公表してます。
 ポリオの会 http://www5b.biglobe.ne.jp/polio/vaccine.html が政府の
公式見解(平成19年度の福田総理の答弁書)を取り上げてます。
  ◎予防接種健康被害認定審査会において生ポリオワクチン接種後に
  麻痺を発症したと認定された事例は、平成元年度以降80件であり、
  また、同審査会において生ポリオワクチンを接種された者からの
  二次感染と認定された事例は、平成16年度以降5件である。
また、同ページによると
  ◎WHOでは、生ポリオワクチン(OPV)を使った場合、新生児100万人あたり、
  2から4人の、ポリオワクチン由来の麻痺患者(VAPP)が発生するとレポート
  しています。

年間出生数について厚労省の公式発表 
   (http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei09/index.html)
によると
平成元年から平成19年までの19年間の出生数(単位は千、100以下切捨て)で計算。
 1246+1221+1223+1208+1188+1238+1187+1206+1191+1203
 +1177+1190+1170+1153+1123+1110+1062+1092+1089
 ⇒2,228万人
「平成元年度以降80件」なので、2228÷80⇒27.85万人に一人

 WHOの100万に2~4人という数値と、27.85万人に一人との違いがあまりに
大きくて驚いてます。近年の年間出生数は大体100万人なので19年間で
最低1900万人。なので上記の2,228万人は妥当。ならば、「平成元年度以降80件」
が過大なのでしょうか。厚労省が過小な数値をでっち上げるのはまだしも、
過大な数値をだすとは考えにくいので、80件は採用してよいと思われます。
 ポリオ生ワクチン製造元の日本ポリオ研究所  http://www.jpri.or.jp/ の
添付文書には
  被接種者から麻痺患者が出た割合は約486万回接種あたり1人
と記載(藤沢市発表数値の根拠)。twitterでは関根さんが迅速にその数値の
虚偽性を指摘しましたが、27.85万人という数値との際はあまりにも大きい
ですね。
 出生した子どものすべてが二回経口接種されるとは限らないので少し
考察してみます。乳幼児の死亡率と接種率が総出生数に対する実際の
被接種児数に影響するわけですが、累積接種率は以下のように9割は
あります。
◎麻疹ワクチン及びポリオ生ワクチン累積接種率全国調査結果(H16年)
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0790010007.pdf
  今年度はじめて実施した調査によってポリオワ
  クチン1 回目及び2 回目の累積接種率は,生後24
  カ月でそれぞれ約94%,約86%,生後36 カ月で
  それぞれ約95%,約91% と良好であることが判
  明した
100%ではないので、上記の27.85万人に一人発症は、死亡率が10%よりはるかに
低いことを勘案すると下方修正されることになります。

■追求すべきこと
 福田総理の答弁書の数値が真と仮定する場合でも、WHOの数値が真と仮定しても
以下のことについて厚労省と日本ポリオ研究所に説明と行動を要求せねばなら
ないと思います。
1)1981~2006年の間に440万人に一人の一次感染という数値と、福田総理の答弁書
 および厚労省発表の年間出生数による発症頻度の差異の由縁を説明せよ
2)福田総理の答弁書が公表された時点で再計算したのか。しなかったのか。
3)日本ポリオ研究所は一次感染の頻度計算を毎年最新データに依拠して
 実施しているのか。してないとしたら、何年に一度実施しているのか。
 累積の発症率だけを計算しており、例えば5年間毎の発症率を計算
 していないのか
4)厚労省および日本ポリオ研究所に、1981年以降および平成元年(1989年)以降の
 一次感染者数の調査公表を求める。その結果に応じて添付文書における数値を
 速やかに更新せよ。もしも、440万人に一人という頻度と再調査
 結果が大きく異なるならば、隠すことなく理由を明確にして、
 結果として虚偽(または誤り)の数値を添付文書に記載していたことが判明した
 らそのことについて謝罪せよ。
5)440万人に一人という非常に稀な一次感染ということを理由として、不活化
 ワクチンの導入を怠ってきたという批判に対して、公式に回答せよ。
6)厚労省は不活化ワクチン製造をメーカーに「御願い」してどうにか
 治験がはじまったと公的に表明している。御願いするのではなく、諸国の
 事例と医学的知見に依拠して、厚労省主導で不活化ワクチンを開発するか
 不活化ワクチンの輸入に踏み切るべきであったのではないか。回答せよ
7)日本ポリオ研究所に厚労省から何人天下っているのか

 いつものことですが、厚労省にも日本ポリオ研究所にも憤懣やる方ない
気持ちです。藤沢市保健所の発表が契機でポリオ生ワクチンが社会問題化する
予感がします。いまここで一気に社会問題化せねばなりませんね。
社会問題化するか否かは別として、菅さんの新内閣が市民・患者視点で
政治主導を実行できるかの試金石になりますね。

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