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2010年9月 2日 (木)

生ポリオワクチンはどのくらい危険? 10月のポリオどうする?

 さて、ポリオワクチンですが、現行の生ポリオワクチン(OPV)はすぐにでも中止すべきでしょうか?世田谷区でも該当年齢の方には10月ポリオの通知が着たとおもいます。判断に迷うところです。

 OPVが危険だ・危ないと、声を大きくすればするほど、正常な判断が失われます。

判断としては

  1. OPVを予定通りに受ける
  2. 自費でIPVにする
  3. ポリオワクチンを受けない

 というのがあると思います。

 まずは、それぞれのワクチンを見比べてみましょう。以下のデータは「ワクチンと予防接種のすべて」という本から参照しました。また、こちらも参照してください。
http://homepage3.nifty.com/drleoking/polio-jpn.pdf

生ワクチン(OPV) 不活化ワクチン(IPV)
代表的な開発者 セービン ソーク
代表的な使用国 日本、発展途上国の大半 アメリカなどの先進国
接種費用 安価 比較的高価
接種法 経口 注射
強毒株への突然変異 極めて稀に有り 無し
混合ワクチンの可能性 別に接種 可能(DPTなどとともに)

 まずは、価格ですが、OPVは定期接種では基本的に無料です。IPVの場合製造過程以外にも日本では診療機関の個人輸入になるので、コスト的に高くついてしまいます。IPVの料金は診療機関によって違うので、個々に問い合わせてみてください。

 強毒株への突然変異による発症(VAPP)ですが、440万人の接種者につき一例というデータがありますが、ポリオの会などのお話を聞くともう少し多いのかもしれません。

 2月19日に、日本国内において、ポリオに感染して赤ちゃんの足が麻痺するという事例が発生したと報道されています。 感染経路は不明ですが、検出されたウイルスは、生ポリオワクチンのウイルスが変異したもので、ご家族以外の方の接種されたポリオワクチンのウイルスが人から人への感染を引き起こしたものです。
 2004年9月のWHOのレポート(下記参照)によれば、ポリオの生ワクチンは、新生児100万人あたり、2-4人のワクチン由来の麻痺(VAPP)が 発生すると報告されています。このため、先進各国では生ワクチンから不活化ワクチンへの切り替えが済んでおり、日本だけが取り残された状態(下記地図)に なっています。
 日本では、予防接種後副反応報告書集計報告(厚労省健康局)によれば、平成18年度に3名、19年度に4名、暫定ですが20年度には7名もの麻痺患者が 報告されています。最近の出生数は年間約100万人ですから、毎年、数十万人に1人の割合で、ワクチンによる麻痺患者が出続けている状態です。

 日本で自然ポリオがいないのだから、何でポリオワクチンをするのだという意見もあるかとは思います。しかしながら世界のどこかでポリオウイルスがいる以上、日本に再上陸しない可能性はありません。外国からのポリオ侵入を阻止するには、ワクチンの高接種率を維持することが重要です。日本を完全鎖国しない限り、現在のところポリオワクチンは中止にはできません。

 また、前述の通り接種率が低下すればポリオが流行することも考えられるので、個人的に接種を控えるということもお勧めできません。他のワクチンと比べて優先する必要はありませんが、いずれは打っておきたいです。

 私の子どもには悩んだ挙句、現行のOPVを2回済ませました(当時はまだIPVが簡単に入手できなかったという事情もあります)。場合によっては、私も含めてIPVを二回追加する予定です。ただ、今考えると、先にIPV二回してその後定期接種でOPV二回でもよかったのかなとも思います。

 当ブログ初コメントのhitさんの発言も参考になります。

 ここら辺を判断材料にできればと思います。

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