ワクチンポリオの症状と経過
ポリオ患者の方から、メールをいただきました。
とても有用だと思うので、許可を得た上転載することします。個人情報は抜いてあります。(一部訂正あり)。
ワクチンポリオの症状と経過は、厚労省の予防接種副反応報告(下記)が参考
になりそうです。
殆どの場合、発熱後に母親が赤ちゃんの動きの異常に、タッチしなくなったとか、
足をバタツカないとかで、気が付いたようです。
しかし、ポリオの会に入会された母親に聞くと、最初に観た小児科医師は、ポリオ
はあり得ないと言い張り、麻痺が確実になってから、整形外科の医師なども観てや
っとポリオかも知れないと診断が出ています。
被害認定の道は遠く、平均でも2年はかかっています。
困ったことに、ウイルスは発症後3週間程度で消えてしまうようで、もはや検出
出来ません。
このように、診断遅れで、ウイルスが検出出来なかった場合は、
VAPPの数(数百万分の1)の数に入っていません。 (文字通り 氷山の一角です)
平成20年度の厚生労働省の予防接種後副反応報告書をみると、
ウイルス検査をしたのは、なんと7例中1例だけです。
<< 法定伝染病なのに、小児科医は、なにをやっているのか(怒)>>と思います。
(実際は、殆どの医師は臨床経験がないので、難しいのはわかりますが、、、)
特に、球麻痺で呼吸困難で死亡しているケースがあるとしても、突然死で
片付けられていると思われます。厚労省の内部情報では、100万人あた
り1名の死亡ケースが出た場合は異常と判定して、ワクチンを緊急停止す
るとのことです。
小児科医の皆さまには、事情をよく知って欲しいと思います。
ブログに取り上げて下さっていることに、とても感謝しております。
注釈
VAPP:vaccine- associated paralytic poliomyelitis ワクチン関連ポリオ麻痺
VDPV:vaccine-derived poliovirus ワクチン由来ポリオウイルス
ーーーーーーーーーーー
参考1)
平成20年度 厚生労働省の予防接種後副反応報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000misk.html
麻痺(四肢麻痺)例は、免疫不全のない0歳児3例、1歳児3例の計6例で、免疫不全のあるものは0例であった。
麻痺例は、
1)9ヶ月男児、1回目ポリオワクチン服用後19日目に発熱、22日目から左下肢弛緩性麻痺出現。報告時点で麻痺は残存。ポリオ服用約2ヵ月後のウイルス分離(咽頭、便、髄液)は陰性。 <ーー 検査が遅すぎた例
2)1歳2ヶ月男児、1回目ワクチン服用後20日後に発熱、25日目頃に在不能。右下肢弛緩性麻痺と診断される。報告時点で麻痺残存。ウイルス検査不明。
3)1歳0ヶ月男児、1回目ポリオ服用14日目に発熱、21日目に右足を動かさないことに気づかれ、届けで時点で麻痺残存。ウイルス検査不明。
4)9ヶ月男児、1回目ポリオ服用後19日目に発熱、22日目に右下肢に力が入らないことに気がつかれ、右下肢弛緩性麻痺と診断される。届出時点で麻痺残存、便よりSabin3型ウイルス分離
5)1歳一ヶ月女児、2回目ポリオ服用20日目に発熱、21日目に痙攣あり入院。入院中にふらつき出現し、両下肢麻痺が進行。報告時点で麻痺残存。ウイルス検査不明。
6)8ヶ月男児、1期目ポリオを服用5日後に両下肢の動きが悪いことに気がつかれたが、12日目頃には改善。残存麻痺はない。
四肢麻痺ではないが、ポリオワクチン服用11日目に発生した1例の右顔面麻痺例(報告時点で麻痺残存)、服用7日目に発症した長重積例の報告があった。その他は発疹、発熱などであった。
<ーー 顔面麻痺もポリオの症例の可能性があります。 ーー>
なお、ポリオワクチンの接種人数は、1回目 約107.2万人、2回目 約105.6万人です。
ーーーーーーーー
参考2)
平成19年度 厚生労働省の予防接種後副反応報告書
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/04/s0401-5.html
副反応として報告されたうち麻痺は4件
1) 6ヶ月男児 ポリオワクチン服用17日目に発熱、20日目に下肢の急性弛緩性麻痺出 現。報告時入院中
2) 9ヶ月男児 ポリオワクチン服用25日目に発熱。さらに30日目に無菌性髄膜炎を疑 われ入院、左下肢麻痺に気づく。報告時入院中。
3) 10ヶ月男児 ポリオワクチン服用14日目に発熱、16日目よりつかまり立ち不可、 21日目に左下肢弛緩性麻痺に気づく。報告時点で麻痺回復せず。
4) 1歳9ヶ月男児 ポリオワクチン服用23日目に突然右下肢を動かさなくなり、弛緩性 麻痺判明。報告時点で麻痺回復せず。
ーーーーーー
参考3)
小児学会の声明「経口ポリオ生ワクチンの接種について」
http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_100820.pdf
「VAPP 症例数はウイルス検査による確定診断例に基づくため、実際の VAPP
発生頻度は、上記報告より高い可能性がある。」
参考4)
国立感染症研究所「ポリオワクチンに関するファクトシート」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bybl.pdf
「感染症流行予測調査報告等に用いられている VAPP 症例数はウイルス検査に
よる確定診断例をもとにしており、検体未採取等による検査未実施症例やポ
リオウイルス分離陰性例は含まれていないため、実際の VAPP 発生頻度は
上記報告より高い可能性がある。」
なお、国立感染症研究所は、最近は、200万接種に1回と公称しています。
(2回接種なので、患者側からみると、100万人に1人ということになります)
参考5)
450万接種に一回の出典について
ワクチン添付資料の記載から、引用されているものと思われます。
http://www.jpri.or.jp/tenpu6.pdf
「わが国での経口生ポリオワクチン被接種者に対するワク
チン関連麻痺例の出現頻度は1981~2006年の間に免疫異常
のない被接種者から麻痺患者が出た割合は約486万回接
種当たり1人、接触者の場合は約789万回接種当たり1人
である」
数字がとても細かく、正確に思えるデータなのですが、
出典の記載を追って、全ての資料を取り寄せて確認した結果
1)患者数は、下記のデータほぼに一致
2)接種数は、ワクチンの出荷量として計算されています。
出荷量は日本の新生児の人口の約3倍になっています。
(20人分が1瓶なので、無駄が出ていることを全く無視しています。)
生ポリオワクチンの副反応 (1970-2000)
http://www1.mhlw.go.jp/topics/polio/tp0831-1_c_11.html#siryo2
参考6)
WHOのレポート 11 JULY 2003, No. 28 241–252
http://www.who.int/wer/2003/en/wer7828.pdf
「2–4 cases of VAPP per million births per year」
との記載があります。
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コメント
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いつも参考にさせていただいています。
私も一刻も早く国内でのIPV接種が可能になることを望んでいます。今後もいろんな情報を期待しています。
今回はポリオ患者の方からのメールの転載ということですが、気になることがひとつあります。(的外れな意見であればご容赦ください)
参考4)で
「なお、国立感染症研究所は、最近は、200万接種に1回と公称しています。(2回接種なので、患者側からみると、100万人に1人ということになります)」
とありますが、単純に2で割って、100万人に1人としていいのでしょうか。
"本邦では1971年~2000年の間に33例、年間約1人の割合で発症しており、接種者および接触者を含めた発症率は200万当たり1人発症しています。接種者のみでは370万当たり1人、初回投与のみでは230万当たり1人と初回投与の方がVAPPの発症頻度は高いです3)。"
http://www.pariet.jp/helpful/vol55/no571/sp21.html
"ポリオ関連麻痺の発生率について、Hao L, Toyokawa S, Kobayashi Y: Poisson-model of risk of vaccine-associated paralytic poliomyelitis in Japan between 1971 and 2000. Jpn. J. Infect. Dis,61:100-103,2008 では、「接種者のVAPP 1/370 万接種、接触者のVAPP は1/440 万接種、合計1/200万接種」としている"
日本小児科学会予防接種感染対策委員会 声明
http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_100820.pdf
参照している論文は両方とも同じもののようです。
どちらにしろ、添付文書の約486万接種当たり1人は信用できない数字に見えますが。
投稿: yama | 2010年9月13日 (月) 13時28分