ポリオワクチンに関するメディア(医療ガバナンス学会)
医療ガバナンス学会から「Vol. 310 長男、ポリオにかかっていた!?」です。現在のところサイトにはVol. 308までですが、数日後には載ることでしょう。
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医療ガバナンス学会から「Vol. 310 長男、ポリオにかかっていた!?」です。現在のところサイトにはVol. 308までですが、数日後には載ることでしょう。
大阪のテレビ番組からです。毎日放送のニュース番組(VOICE)からのコーナー「憤懣本舗(ふんまんほんぽ)」から、ポリオワクチンを扱った番組です。
大阪に行って地元のテレビを見たときにはアレルギーを起こしそうになりましたが、こういった番組もあります(当り前か)。
ポリオの詳しい話をします。
ビタミンKを新生児に投与せずに死亡したとして、助産師を訴えた裁判が昨日ありました。名称はどう表現したらいいのかわからないのですが、とりあえず「ホメオパシービタミンK裁判」としておきます。
皆さんは百日咳の咳を見たことがありますか?
一週間の潜伏期を置いてカタル期を1-2週間経た後、痙咳期と呼ばれる特有の咳が起こる時期になります。
以前仕事をしていた場所でのお話です。そこは咳を出すお子さんが多かったです。
ポリオウイルスは人に感染するとき、食べ物や手指から口に入っていきます。この後、咽頭や腸管で増殖し体に侵入します。
しばらくホメオパシーについてはコメントをしていませんでしたが、あるブログを見つけました。
今は見ることは出来ませんが、魚拓をとっている人がいたので載せることにします。不具合があれば、教えてください。
ポリオワクチンのシーズンが近づいてきました。外来でもポリオの問い合わせが増えてきました。ポリオの症状について書いてみることにします。
(ポリオサバイバラー方からもメールを頂き、一部追加・訂正しました)
OPVは経口接種です。つまり口から飲みます。腸の中でポリオワクチンのウイルスは増殖し、免疫が出来るのです。
twitter仲間にポリオサバイバーのpippinpippinさんがいます。そのその方のブログを紹介します。
続きを読む "小児科医は刮目せよ! 日本小児科学会長:五十嵐隆先生へ 「ワクチン接種の1歳女児、ポリオに感染(読売新聞2010/9/17)」をご存知ですか?" »
1.生ポリオワクチン(OPV)
・OPVについてすぐ知りたい方。
ポリオワクチンのまとめ
・久住英二先生の解説。私のよりも、良くまとまってみます。
問い合わせ急増! 不活化ポリオワクチンのなぜ、いつ、どれくらい?
・ポリオの症状について。
もしポリオになったら・・・気がつくべきこと知らせるべきこと気をつけること(改訂版)
・昭和50年から昭和52年産まれの保護者の方へ
昭和50年(1975年)~昭和52年(1977年)生まれの保護者の方、子どものポリオには気をつけて
・VAPP(ワクチン関連ポリオ麻痺)の確率について。色々と書きましたが、一つだけ出します
OPVの問題点 1.ポリオワクチンによる麻痺
・OPVによる第三者への感染・さらにはアウトブレイクについて
OPVによる第三者への感染・さらにはアウトブレイクについて
・ポリオ患者を後に苦しめるポストポリオ症候群について
ポストポリオ症候群
・そのほかポリオに関するブログ(新しい順)
https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/cat22079807/index.html
・ポリオの細かなお話し(やや専門的)
ポリオの詳しい話
・ポリオワクチン(OPV)とシナジスについて
https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-4b80.html
2.不活化ポリオワクチン(IPV)
・IPVのQ&A(たからぎ医院)
http://ebisu.net/faq/faq.cgi?mode=kate&kate=ipv
・OPVとIPVの比較(たからぎ医院)
http://bit.ly/9FRwWV
・eIPVと腸管免疫について
IPVではなくてeIPV。腸管免疫について。
・打ってくれるところ
IPV取り扱い医療リスト
3.小児科医の方へ
小児科医は刮目せよ! 日本小児科学会長:五十嵐隆先生へ 「ワクチン接種の1歳女児、ポリオに感染(読売新聞2010/9/17)」をご存知ですか?
4.OPV/IPVと関連のあるDPTワクチン(特に百日咳)
5.ポリオワクチンに関するメディア
ポリオワクチンに関するメディア(youtube)
ポリオワクチンに関するメディア(医療ガバナンス学会)
2010.11.9 とくダネ! 「”ワクチン後進国” 日本の現状」
ポリオワクチン(上)予防接種で両脚にまひ(読売新聞医療ルネッサンス2011.1.13)
ポリオワクチン(下)「不活化」 緊急輸入 願い切実(読売新聞医療ルネッサンス2011.1.14)
6.同時接種
IPVを論じるには避けて通れない、同時接種・多価ワクチンの問題。輸入ワクチンだから同時接種できないということはありません。ただ、同時接種にかかわる補償の考えは個々のクリニックで異なるので、確認をお願いします。
7.IPVの打ち方
生であれ不活化であれ、複数回接種する必要があるポリオワクチン。OPVがいまだに定期接種で行われている日本では、どうやってIPVを接種するかが問題です。でも、麻痺(VAPP)を防ぐという視点かすると、答えは見えてきます。
8.注意書き
作者はポリオ専門医ではありませんし、直接ポリオ麻痺を診断したこともありません。ですので間違っているところ・不確かなところもあるかもしれません。何かあれば、コメントかメールで教えてください(VDPVをVDPPと書いていた・・・)
生ポリオワクチン(OPV)の問題点を挙げています。
一つは、OPVによる麻痺(VAPP: VAPP:Vaccine-associated Paralytic
Poliomyelitis)です。生ポリオワクチンは、生きたポリオウイルスを弱毒化して作りました。普段は悪さをしませんが、体内で増殖を繰り返すう
ちに野性の力を取り戻すことがあります。これが「先祖がえり(reversion)」です。日本ではOPVを2回接種しますが、一回目のほうが先祖がえり
の確率が高いといわれています。それは、一回目ではまだポリオに対する免疫がないため排除するのに時間がかかり、それに伴いポリオウイルスの増殖時間が長
くなり、先祖がえりしやすくなるのです。一回目のほうが7-21倍高いとされています。
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/idsc/disease/polio1.html
先祖がえりしたポリオウイルスが全部発症するわけではありません。症状を起こすのは感染者の5-10%、さらに麻痺(VAPP)を起こすのはさらに0.1%といわれています。
実際にOPVでVAPPになる確率はどのくらいなのでしょう?まずはOPVを日本で作っている、ポリオワクチン研究所では、「頻度は200万 人~300万人分の使用で1人程度」としています。OPVの添付文書には、「1981~2006年の間に免疫異常のない被接種者から麻痺患者が出た割合は 約486万回接種当たり1人」です。WHOの文書では「100万人に2-4人」です。
実際の資料を基にすると、平成元年からの数字で、「22.85万人から55万人に一人」なのでしょう。
詳しくは以下をごらんください。
今年の5月のOPV接種で、麻痺(VAPP)の報告がありました。
ついにインフルエンザワクチンの季節がやってきました。医療側では予約の電話が鳴り響き対応に追われます(最近は予約を自動化するところも)。
「日本はワクチン後進国」「日本はワクチンについて20年遅れている」とよく言われています。20年前といえば、もう平成の時代です。足利事件も平成の時代に起こったことに愕然としましたが、日本のワクチン行政に大きな影響を及ぼす判決も、平成に出されました。
これまでポリオのことを書いてきました。
昔々のはなし、小児科は腸重積・虫垂炎・細菌性髄膜炎・急性喉頭蓋炎を見逃してはいけないといわれていました。
twitter仲間でポリオ患者の方から、WHOのデータを教えてもらいました。
ポリオの件でコメントをいただきました。
昨日ツタヤの読み聞かせに行ってきました。
ポリオ患者の方から、メールをいただきました。
ポリオワクチンのシーズンが近づいてきました。外来でもポリオの問い合わせが増えてきました。ポリオの症状について書いてみることにします。
新しく改定しましたので、こちらをご覧ください。
https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-9de2.html
今回はホクナリンテープです。
ホクナリンテープとは、医療機関で「子供の咳がひどいです」というとたいていのところでくれる四角いテープです。ホクナリン(一般名ツロブテロール)というβ-刺激剤系の気管支拡張薬を、貼布剤にしたものです。寝る前に体に張れば、体に穏やかに吸収され効果が持続するという触れ込みです。
発売後、爆発的に処方されました。咳といえばホクナリンという感じですね。保護者からも求められることもありました。本来は一日たったら張り替えるのにそのままにしていて、勲章のようになっているお子さんもいました。
しかしながらホクナリンの薬理作用を考えれば、すべての咳にホクナリンが有効であるわけがありません。本来は、気管支喘息・咳喘息に使うべきものでしょう。「急性気管支炎」に適応という効能書きがありますが、薬理作用上効くか疑問です。また、長引く咳で鑑別が必要な、副鼻腔炎による後鼻漏、百日咳、胃食道逆流には、効果はありません。
こちらも見てください。認可されたときの論文内容を読んで、驚きました。
「咳止めのテープ」の問題点 http://www009.upp.so-net.ne.jp/tatsuo/tape.htm
ただ貼るだけで便利なので、効果がわからないままに使われすぎてしまっている、「多芸は無芸」というイメージがホクナリンテープにはあります。ただ、適応を限って使えばいい薬のはずです。夜間から早朝の発作が激しい喘息には効果があると思います(mornig dip)。
ホクナリンテープには何種類かのジェネリック(いわゆるゾロ)が存在します。同じ性能で安ければジェネリックのほうがいいのではという意見もありますが、一般的に外用剤のジェネリックには注意が必要です。ホクナリンテープのジェネリックでは、
という問題があります。ホクナリン自体の特許はもう切れましたが、ホクナリンを徐放する(ゆっくりと作用させる)特許は、結晶レジボアシステムといって、まだホクナリンテープの製造会社持っています。そのため、ジェネリックの会社はそのシステムを利用することができません。
ジェネリックによっては、貼ってから3時間ですべて吸収されてしまうものもあります。つまり、貼ってから3時間たてばただのテープになります。これではmornig dipに対応できるわけがありません。
ちなみに、海外ではホクナリンテープというものがありません。気管支拡張の貼布剤自体ないのです。ですので外国に入ってホクナリンテープの話をしても、外国のお医者さんは混乱すると思います。
次回は、悲劇の薬ベロテックの予定です。
ワクチンに限らず、薬一般に言えることですが、市場に出てからの調査というものは、とても重要です。安全性というほかにも、どのくらい効果があったのかをチェックする必要があります。
一部でタブロイド氏といわれている毎日新聞ですが、そういわれても仕方のない記事が、多剤耐性アシネトバクター関連で出てきました。
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20100907k0000m070104000c.html
余録:耐性菌の“俊足”
「もっといそいで、いそいで!」。鏡の国に入り込んだアリスの手を引っ張って走り出したのは赤の女王だ。息が切れて、目が回るまで走ったアリス は、ついにへなへなと座り込んだ。だがあたりを見回すと、もといた場所ではないか▲赤の女王は言った。「いいこと、ここでは同じ場所に止まっているだけで も、せいいっぱい駆けてなくちゃならないんですよ。他へ行こうなんて思ったら、少なくとも2倍の速さで駆けなくちゃだめ」(鏡の国のアリス)▲それで「赤 の女王仮説」と名づけられた。生物は絶えず走り……いや、進化し続けないと絶滅するという進化生物学の仮説のことだ。捕食者が獲物を捕らえる能力と、獲物 がそれを逃れる能力が、まるで軍拡競争のように進化し続けるのはその分かりやすい例という▲では細菌の世界でも赤の女王が「もっといそいで!」とせっつい ているのだろうか。抗生物質の効かない多剤耐性菌による大規模な院内感染が帝京大病院で明るみに出たのに驚いたら、今度は国際的に監視が呼びかけられてい た新タイプの耐性菌が国内でも見つかった▲帝京大病院の場合は対策が後手に回り46人の院内感染者を出しながら、国などへの報告を怠った。そのうち9人は 感染と死亡の因果関係が否定できないともいう。高度医療を掲げる大学病院としては何とも情けない限りだ▲抗生物質開発と細菌の耐性獲得とのこの果てしない 競走、細菌の俊足ゆえにどうも人類は分が悪い。感染症との戦いで新たな知恵と情報を求めながら走り続ける人類なのに、医療機関が足を引っ張るようでは赤の 女王の高笑いが聞こえてこよう。
死者に対する思いはまったく感じ取ることはできない記事です。これはキジじゃなくてハジなのでしょう。他山の石としたいです。
その二日後、まったく違った記事が出てきました。上の記事でよほど批判を受けたのか、別の記者が書いたのか。あるいはその両方なのか。よくかけていると思います。この落差は同じ新聞なのかと思うほどです。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100909ddm003040090000c.html
クローズアップ2010:多剤耐性菌アシネトバクター 強い「生命力」で拡大
帝京大病院(東京都板橋区)を皮切りに、次々と明らかになった多剤耐性菌アシネトバクターの院内感染。感染拡大の原因として、病院側の認識の甘さ や報告の遅れなどが問題視されているが、専門家は対策が難しい同菌の特性も一因に挙げ、今後も感染が相次いで発覚する可能性を指摘する。これまで打ち出さ れてきた国の院内感染対策も、十分とは言い難いのが実情だ。【佐々木洋、福永方人】
◇乾燥に耐え生存 帝京大では2度沈静傾向に
「アシネトバクターは高度耐性菌の中でも『生命力』が強く、対策は非常に難しい」。自治医科大病院の森沢雄司・感染制御部長は指摘する。感染が収まったように見えても、病院内のさまざまな場所で菌が生き延び、再び感染が拡大する恐れがあるという。
帝京大病院では今年2月、4人の感染者が出たが、3月には1人に減少。同病院感染制御部の対応は、院内各科に通知を出すなどして注意を呼びかける にとどまった。しかし、4月から5月初めにかけ、一気に約10人が感染し、同病院は初めて「院内感染」と認識。全感染者を個室で管理し、病棟を一時閉鎖す るなど、拡大防止に乗り出した。
その後、6月には6人の感染者が出たものの、7月は1人で同月末時点での保菌者は計3人に減り、沈静化したように見えた。同病院は8月4日に厚生 労働省と東京都の定期検査を受けたが、院内感染については報告しなかった。都の担当者は「定期検査の時点では院内感染は終息傾向にあると判断し、報告しな かったのだろう」と見る。
しかし、8月に同病院が精度の高い手法で全病棟を検査したところ、新たに7人の感染が確認された。結局、感染者は計53人に上り、いまだに感染は終息していない。
一方、3人の感染者が出た都健康長寿医療センター。このうち76歳の男性は今年2月、帝京大病院から転院した。転院約2週間前の検査ではアシネトバクターは陰性だったが、転院当日の同センターでの検査では陽性となった。
帝京大病院は「転院までの2週間で感染した可能性はゼロではない」と話す。
こうした状況について森沢部長は「例えば緑膿(りょくのう)菌は乾燥に弱く、水回りの対策で済む。しかし、アシネトバクターは乾燥に強く、床や カーテン、パソコンのキーボードなど通常の環境でも数週間以上生存する。病室などを1回調査しただけで、菌の有無を判断するのは難しい」と指摘する。欧米 の病院では、医療スタッフが使うPHSを介して集団感染が発生したケースもあるという。
次々と明らかになる院内感染は今後も拡大するのか。
日本感染症学会理事の舘田一博・東邦大准教授(微生物・感染症学講座)は「院内感染をゼロに抑えるのは不可能。アシネトバクターは既に国内でも広 がっていると考えられ、検査を強化すれば新たな院内感染が発覚する可能性がある。院内の監視体制を強め、菌が検出されたら速やかに保健所などに報告し、消 毒で拡大を防ぐなど、本来の感染対策を改めて徹底すべきだ」と指摘する。
◇国の対策、後手に回る
国の院内感染対策は、セラチア菌や多剤耐性緑膿菌などによる集団感染が問題化するたび、法律・省令の改正や、自治体への通知などによる対応を繰り 返してきた。後手に回ってきた感は否めず、感染症対策のスタッフの少なさの解消など抜本的な対策は先送りにされてきたのが実情だ。
国は04年1月、大学病院などの特定機能病院について、省令改正で専門知識を持つ専任の担当者を置くことを義務化。07年4月施行の改正医療法で は、診療所などを含めたすべての医療機関に院内感染マニュアルの策定を義務づけるなど、医療機関の安全対策に院内感染対策を初めて明確に位置づけた。
アシネトバクターを巡っては、福岡大病院の院内感染を受け、09年1月、厚労省が対策を求める通知を都道府県に出した。しかし、帝京大病院では、 感染制御部の医師らが通知を知りながら素早い対策を取らずに被害を拡大させ、保健所への報告も遅れた。このため厚労省は今月6日、改めて対策の徹底を求め る通知を出した。
帝京大病院の対応について厚労省の担当者は「専任職員といっても、どの程度機能していたかは今後の調査次第。医療機関ごとに相当意識の差がある可能性もある。行政への届け出の遅れは、感染症法の報告義務対象になっていなかったからではないか」とみる。
同法では、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌など5種類の耐性菌について発生時の報告を義務づけているが、アシネトバクターは対象外だった。この ため長妻昭厚労相は独協医大病院で国内初確認された「NDM1」も含め、届け出対象に含めるか検討を指示した。新しい耐性菌の広がりを把握するため、全国 的な調査に乗り出す方針も固めた。
感染症専門医の少なさなど、欧米に比べ遅れが指摘されていた日本の院内感染対策。長妻厚労相は7日の会見で「専門家の意見も聞きながら実態把握を進め、これを機に対策を徹底したい」と語った。
今までIPVと書いてきましたが、IPVにも混合ワクチンがあります。日本ポリオ研究所が作ろうとしたのが単独ポリオ。それがだめになって日本のワクチン会社数社で、DPT+IPVの四種混合ワクチンを開発中です。
海外ではどうかというと・・・多くのワクチンが混合です。針を刺すのが減るので、子供たちの負担(ストレス)が大幅に減ります。
http://www.immunize.org/askexperts/experts_combo.asp
注:DTaP:日本のDPT、Hib:日本のアクトヒブ(ヒブワクチン)、HepA:日本のA型肝炎ワクチン、HepB:日本のB型肝炎ワクチン、MMR:おたふく・風疹・麻疹混合ワクチン、Var:水痘ワクチン。ProQuadは熱性けいれん発症のリスクが高まるといわれています。MMRVに関しては他の会社がPriorix Tetraというのを発売しています。この情報はまだわかりません。
他にもあります。最高で6種混合ワクチン(Infanrix® hexa)になります。DPT+Hib+IPV+HepBです。
http://www.gsk.com.au/products_vaccines_detail.aspx?view=44
商品名(®)を見てもらえればわかりますが、語尾が共通しているのがあります。これは同じ会社が出しているものです。
海外のワクチンは会社によって本当にいろいろとありますが、日本のワクチンは数社で出しているものの、基本的には似たり寄ったりです。一社だけが飛びぬけてすばらしいワクチンを作るということはありません、厚生労働省が音頭をとり足並みそろえる護送船団方式です。ですので国内開発のDPT+IPVも各社で同じころに同じようなものができるのでしょう・・・
日本開発のDPT+IPVがどのような形で上市されるのか気になります。せめて生後2ヶ月から治験を開始していれば、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンと一緒に接種出来るのですが。
HPVワクチンの予算150億円というのは、どうやら本気のようですね。一般のワクチンの予算がいくらなのだろうと思ってしまいます。子宮頚がん予防のための予算を計算した人もいるので、参考にしてください。
http://medg.jp/mt/2010/08/vol-264.html
ひとつ注意しておくことは、この150億円はワクチンの予算から分捕られたものではないということです。「元気な日本復活特別枠」というものからだそうです(すごいネーミング)。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100826-OYT1T00314.htm
特別枠に子宮頸がんワクチン助成…厚労概算要求
特別枠で要求する事業は、子宮頸がんワクチンの助成など(150億円)のほか、デイサービス施設での宿泊事業(100億円)、新卒者の就職支援(73億円)、24時間巡回型の訪問介護サービス(28億円)など。
で、その元気な日本復活特別枠というのはどういうものかというと・・・
http://allabout.co.jp/gm/gc/185133/2/
2011年度予算「元気な日本復活特別枠」って何?
具体的にどんな分野に使うのかというと、今後の日本の成長に貢献できるような産業、デフレ脱出に効果的な分野に1兆円のお金を投資していくとのこと。各省 庁の一律1割削減の課題とも連動させ、削減目標を上回って削減した省庁には、上回った分の3倍まで特別枠の予算要求を認めています。
ということです。
そもそも何でワクチンのために特別に予算をつけたのでしょう?新型ワクチンがらみでGSKのトレード言うことでなければ、がん対策のためです。HPVワクチンで女性の子宮頚がんはある程度予防できるのです。
もうひとつ、ワクチンで予防できるがんがあります。それは肝細胞がんです。肝細胞がんの多くはB型肝炎ウイルスが原因です。多くの国では新生児期にB型肝炎ワクチンを原則すべての赤ちゃんに打つようにしています。HPVワクチンに予算をつけるのであれば、B型肝炎ワクチン(ビームゲンなど)にも、きちんと評価をした上で予算をつけるべきでしょう。
「ママにサーバリックス打つんだったら、僕にもビームゲン打ってよ」という赤ちゃんの声が聞こえてくる気がします(あと、アクトヒブもプレベナーも・・・)。
まずは今回多剤耐性アシネトバクターが原因でなくなった方々に、お悔やみ申し上げます。
多剤耐性アシネトバクターがニュースになる少し前、とあるところでコリスチン(多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクターに効果があるが日本では認可されていない)の輸入について真剣に討議されていました。多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクターが見つかってから税関やFedExに相談しても遅いので、前もって輸入すべきというお話をしていました。洒脱なかも緊張感を持った場でした。
報告をしていなかったから悪い、という報道があふれていますが、果たしてそうでしょうか?義務でもない報告を?確かに報告しなかったことは遺憾ですし、院内でも報告が遅れたのは確かなようです。今回の発覚はおそらくは「報告」という正規のルートを通してではないのだと思います。
逆に報告したら、どういった対応を厚生労働省がしてくれるのでしょうか?現場を知らない行政が、「病棟閉鎖」という手を出してくれるかもしれません。お願い程度の通知で報告して、病棟閉鎖になったのではたまらないと思う人もいるのかもしれません。厚生労働省は、報告後の対策もちゃんと示す必要持ったのではと思います(コリスチンでもくれるのかな?)。
None of your business http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/none-of-your-bu.html
Vol. 281 帝京大学病院院内感染事案における捜査開始を受けて http://medg.jp/mt/2010/09/vol-281.html
予想ですが、多剤耐性アシネドバクターはもうほかのところにもいるのだと思います。市井の病院レベルで起こったことなのですから、遺憾ながら他のどこかの病院で起こってもおかしくはありません。そのつど、報告はなかったということで帝京大学や有隣病院と同じ扱いをメディアをし、厚生労働省が立ち入り調査を行い、警察が業務上過失致死で捜査をするのでしょうか?
今日の16時、もう一時間ちょっとなのですが・・・
子宮頸がん予防対策強化事業創設に伴う緊急声明 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会 http://ow.ly/2AVJv 9/9(木)16:00 場所:厚生労働省記者クラブ会見室
まずは、喘息の治療法で気管支拡張薬からはじめてみます。
注意:いくつか、新しくIPVを接種してくれる施設が増えたので、このエントリーは削除します。こちらもご覧ください。不活化ポリオワクチン接種医療機関リストです
https://sites.google.com/site/ipv4japanesechildren/home/ipvclinic
昨日作った、世田谷で不活化ポリオワクチンIPVを打ってくれるところ ですが、Googlemapにしてみました。
こうしてみると、どこにあるかよくわかって感慨深いです。ブログ上の地図では二箇所しか表示されないので、大きな地図で見てください。
http://bit.ly/90SqE3
より大きな地図で 世田谷区近辺のIPVマップ を表示
そうそう、喘息の治療法で何よりも大切なのが、
まず禁煙をしてください。
これは、薬を使う前の問題です。タバコの煙は気道に刺激を及ぼします。喘息を起こすのに十分な刺激です。
といった話を耳にしますが(4番は意味不明・・・)、結局のところだめです。最近は二次喫煙(受動喫煙)のみならず三次喫煙(副流煙などが壁や絨毯、調度品などにしみこむ)が問題になっています。
あと、小学生でも高学年なら隠れタバコということもあります。こういったケースのほとんどが、自宅で親が喫煙しているのです。自ら禁煙しましょう。
いまだに暑くて夏真っ盛りですが、そろそろ台風シーズンです。喘息が気になってくるところです。
喘息の治療方法はここ数年で大きく変わりました。喘息死もまだ十分とは言いがたいですが、かなり下がってきています。
今回は、治療法について書いていこうと思います。
喘息は、気道の慢性炎症および気道過敏性があるとされています。気道過敏性があるために、わずかに刺激で気道が収縮するのです。気道収縮の要素は、気道平滑筋収縮、気道粘膜浮腫、気道分泌増加ですが、平滑筋の収縮が重要です。
一昔前の喘息治療は、気管支拡張がメインでした。発作時の収縮した平滑筋を広げるのです。しかし、気道の慢性炎症・気道過敏性はそのままなので、また気道平滑筋収縮が起こってしまうのです。
そこで、炎症をとる治療はどうでしょうか?それで吸入ステロイドというお薬が世に出てきました。欧米では以前から使われていたお薬ですが、日本で広まったのはここ5・6年でしょうか?薬が認可されるのも、かなり遅かったです。
喘息の治療法は、大きく分けて抗炎症薬および気管支拡張薬となります。もう一つの分け方は、発作のあった場合にのみ使用するリリーバー(リリーフピッチャーと語源は同じ)と発作が起きないようにするコントローラーというのがあります。直観的に
コントローラー=抗炎症薬
リリーバー=気管支拡張薬
と思われそうですが、必ずしもそうではありません。ただいえることは、コントローラーを上手に使うことによって喘息死が減ったということです。発作のあるときだけ薬を使っても、これはテスト前の一夜漬けと同じことなのです。
注意:いくつか、新しくIPVを接種してくれる施設が増えたので、このエントリーは削除します。こちらもご覧ください。不活化ポリオワクチン接種医療機関リストです
https://sites.google.com/site/ipv4japanesechildren/home/ipvclinic
今まで不活化ポリオワクチンのことを書いていきましたが、実際に打てる場所がわからないとだめですよね。調べてもわかりにくいです。
http://bit.ly/dyCc9o
にリストがありますが、解説を交えつつリストアップしていきます(直接・またメールなどで存じ上げている先生もいらっしゃいます)。
いずれにせよまずは電話で相談してください。また、診察時間などを考えて電話してくださるといいと思います。
(追加:Googlemap でも作りました https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/ipv-370a.html)
麻疹は数年前流行し一騒動でしたが、その後はだいぶ治まりました。しかし、MR三期・四期の接種利が低いなか、2012年までに麻疹のeliminatinは果たして可能なのでしょうか?これは、医療機関・学校・地方行政の取り組みがあまりにも低いと思います。自分自身も含めて猛省しないといけないのでしょうね。
時々、MRワクチン(麻疹・風疹)ではなくて麻疹ワクチン単独でお願いします、という人(保護者)がいます。理由は大きく分けて、
です。1.の場合は麻疹ワクチンでかまいませんが、風疹に感染したという証拠が必要です。記憶だけでは不十分で、採血を行い抗体を調べることが必要です。2.の場合ですが、私は以下の理由で反対です。
ここでは先天性風疹症候群について説明します。母親が妊娠初期風疹にかかると、胎児に影響が出ます。特に、白内障・心疾患・難聴が有名です。妊娠初期にかかればかかるほど影響が出やすいです。風疹ワクチンも効果は100%ではありません(だから二回接種します)が、風疹は一度感染しても再感染することもあります。風疹に一度感染しても、妊娠時に再感染して胎児に影響を及ぼす可能性はまれにですがあります。
母親になる可能性のある女児(高校生)にのみ接種すれば良いのではと言う意見もありますが、それは違います。母親が風疹になるためには感染源が必要ですが、多くの場合はいつもいる人(多くの場合、夫や子ども達)が感染源になるのです。
風疹ワクチンを接種しないということは、他人に風疹を感染させてその人の赤ちゃんを先天性風疹症候群にさせるかもしれない、ということです。なんだか脅しととらえる人もいるかもしれませんが、これは事実です。そのことをヒントにしたミステリー小説があるのですがご存知ですか?
話は変わりますが、先天性風疹症候群にまつわるお話を二つします。
一つは、山本おさむ原作の「遥かなる甲子園」。占領時代の沖縄で、風疹が流行したときに聴力障害の子供が沢山産まれ、そのために聾学校が新設されました。彼らが高校生になったときに野球部を作ったのですが、規定により彼らの学校では甲子園に進むことは出来ませんでした。しかし特別な計らいで沖縄の大会のみ出場を許されたのです。これが「遥かなる甲子園」です。
もう一つは、外国の事件ですがペルシュ事件というもの。色々と考えされられます。
障害者の生まれない権利 -(バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳) http://homepage3.nifty.com/machina/c/c0010.html
麻疹単独ワクチンを希望する保護者と話している私の頭の中では、上記のエピソードや実際に先天性風疹症候群でお子さんを亡くされたお母さんの顔が浮かんでいるのです。
HPVワクチンに、150億円もの予算がつくようです。ほかのワクチンに関する予算や、日本版ACIPにかかわる予算に比べると、ずいぶんバランスが悪い話です。日本版ACIPの予算は1500万円ですよ。本場アメリカのACIPに比べると、ACIPと名乗るのも恥ずかしくなります。
国内保健政策においても保健外交政策においても、ワクチンひとつ取ってみても、我が国の政策過程の不透明さ・不適切さは明らかであり、客観的にみるととても「恥ずかしい」国である。ワクチンは、国民の命を守る最も大切な施策のひとつであるのに。
必要な情報や国民の思いが、中途半端な政局争いの中で、意思決定にまでしっかりと届くようになるのはいつのことだろうか。
肝に銘じたいです。
ワクチン政策に寄せて
東京大学大学院国際保健政策学 森 臨太郎・渋谷 健司
2010年9月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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長妻厚生労働大臣がヒトパピローマウイルスワクチン(通称子宮頸がん予防ワクチン)への公的支援策を表明した。たしかにこのワクチンの子宮頸がん予防の効
果は高いと言われている。一方、この一連の動きを見ると、いつもながらの我が国の政策策定プロセスの未熟さが露呈してくる。
新しい医療技術が生まれ、現場で応用可能となってくると、当然のことながら「政策」として後押しするかどうか、という話になってくる。こういった場 合、多くの政策先進国で行われるのは「医療技術評価」であり、この評価においては、単に単独の研究によるがんがどれだけ予防できたかというような効果だけ ではなく、本幹となるのは「系統的レビュー」と「費用対効果分析」と「総意形成」である。
系統的レビューはそれまで行われた研究を洗いざらい探して、質の高い手法で得られた複数の研究で報告されているその新技術の効果を統合的な統計手法 で示す手法である。費用対効果分析というのは、多くの場合、有害事象も含めて、どれくらいのコストがかかり、どれだけの効果(通常は死亡を減らすだけでは なく生活の質の向上も含めて)が得られるかという詳細な分析を行うものである。
子宮頸がん予防ワクチンの場合は、がんの発症を減らすことで数多くの命を救い、子宮がんの診療にかかる医療費削減も望める一方で、小学生の女の子全 員にワクチンを投与する費用も検討していく必要がある。もし公的補助となった場合は当然税金からの拠出なので、国民全員でこれを負担するということである から、総意形成は当たり前である。また、子宮頸がん予防ワクチンを公費負担するということは、予算増額が見込まれない限り他の予算がカットされるというこ とであるから、その判断は極めて慎重に行なわなければならない。
また、ワクチン接種に要する費用やヒトパピローマウイルスの型の分布が国ごとに大きく異なるため、他国で行われた費用対効果分析はさほど参考にならない。我が国では過去に一件の子宮頸がん予防ワクチンの費用対効果分析が行われているだけである。
しかし、この研究、実はワクチンを販売している製薬企業が研究資金を供出し、その製薬企業の社員も研究者の一員として共著者となっている。研究費の ことや研究者のことは論文上には示されているが、利益相反の有無に関する記述が全くないことには唖然とする。しかも、我が国特有の事情である子宮頸がんス クリーニング率の驚くべき低い浸透度(10-20%、ちなみに、英国は81%、米国は82%)への対処は検討されておらず、さらに、欧米とは大きく異なる 我が国のウイルス型分布は分析には反映されていない。
ちなみにこういったことを配慮して我々が行った費用対効果分析においては、ワクチンの費用対効果もさることながら、子宮頸がんスクリーニングの浸透 度を高めることによって、かかる費用に比したその効果は飛躍的に増えることが示されており、スクリーニングの浸透度とともにワクチンの効果を見ると、両方 に配慮をおき施策の両輪とすることがもっとも費用対効果が高いと考えられる。(もちろん我々は研究の結果がどのような形にも利益の相反を生むような権益を 持たない。)
世界の常識は、まず、こういった複数の保健介入の費用対効果分析を、利益相反を含めて検討し、政府そのものがその分析を第三者機関等に委託して提示 することが第一歩であり、その後、広く関係者や一般市民を含めて、専門手法を使った客観的総意形成が行われる。筆者の一人が3年前まで所属していた英国の 「NICE(国立最適医療研究所)」は、こういったことを行う組織であるが、今や似たような組織はアジア諸国を含む多くの国で確立されている。残念ながら 政策後進国の我が国ではそのような機関は存在しない。
費用対効果分析はやはり緻密な分析が必要ではあるが、こういった鍛え上げられた情報を基に、最終的には政策判断は私たち社会の価値観でもって行う。その際、陳情だとか圧力団体の相撲で決められるのではなく、客観的に声なき声も拾えるように総意形成を行っていく。
振り返って我が国の政策策定過程では、大切な国民の血税を突き詰めて考えて大切に使うための情報や手法(政策のための研究)が軽視されて、物事が決められているようである。
これはなにも子宮頸がん予防ワクチンだけではない。
現在厚生労働省の予防接種部会では、さまざまなワクチンの導入に関する検討が花盛りのようである。利益相反の宣言は会議開催ごとにされているのだろ うか。系統的レビューや費用対効果分析は施行されているだろうか。ワクチンの中には麻疹ワクチンのように予防すべき病気の重篤さを検証すると効果が高く導 入の効果が高いものから、予防効果はあってもその病態の重症度が低いものもある。まだ開発途上ではあるがマラリアワクチンのように効果が期待されるものが ある一方で、エイズウイルスワクチンのようにあまり効果に期待できないものもある。
こういう有象無象のワクチンの導入を我が国ではどのように政策策定しているのであろうか。ちなみに我が国の麻疹ワクチンの浸透度は近年まで一部の途 上国よりも低い状態であったと言われているが、なによりも正確な浸透度のデータがない上に、周りの途上国が麻疹撲滅へと進む中、麻疹輸出国となっている我 が国の現状は、目先の買い物(新しいワクチンなどの新技術)に目がくらんで、大切な足元の政策(古くて重要な施策の浸透)を進めることができない恥ずべき 状態である。
さらに、世界のワクチン対策に目をやると、極めて高い成果を挙げている官民一体型の新たな非営利財団の一つである「GAVIアライアンス(ワクチン と予防接種のための世界同盟)」がある。GAVIが支援しているワクチンには、我が国が導入を検討しているロタウイルスワクチンの他、Hibワクチンや肺 炎球菌ワクチンもある。
21世紀型国際機関であるGAVIの新しさは、世界保健機関(WHO)のように各国政府がカウンターパートの組織ではなく、その顔ぶれと財源調達の 仕組みにある。GAVIの理事メンバーはドナー国政府のみならず、国際機関、ゲイツ財団や先進国と途上国の製薬企業、途上国政府や市民社会から構成されて おり、ワクチン市場の拡大メカニズムの構築や新種ワクチン開発のためのインセンティブを創出することに成功している。また、ドナーからの拠出に加えて、ワ クチン債から得た資金を活用して途上国でのワクチンの普及に努めている。GAVIの支援により、今後5年間で420万人の子供の命を救うことができる。
先進国や一部の中進国政府がこれに参加する中、G8の中でGAVIに参加していないのは我が国だけである。しかし、世界で発行されたワクチン債の総 額約2600億円のうち、約半分は我が国の国民が証券会社を通じて購入しており、世界の最先端のワクチン対策に民間として貢献していたりもする。
一方で、我が国政府は、エイズワクチン開発を進める「国際エイズワクチン推進構想:IAVI(International AIDS Vaccine Initiative)」への拠出を決定したようである。実は、エイズワクチンは近い将来実用化の見込みの全くないものであることは世界の常識である。
国内保健政策においても保健外交政策においても、ワクチンひとつ取ってみても、我が国の政策過程の不透明さ・不適切さは明らかであり、客観的にみるととても「恥ずかしい」国である。ワクチンは、国民の命を守る最も大切な施策のひとつであるのに。
必要な情報や国民の思いが、中途半端な政局争いの中で、意思決定にまでしっかりと届くようになるのはいつのことだろうか。
参考資料
[1] OECD Health Data
[2] Ryo Konno, et al., Cost-effectiveness analysis of prophylactic
cervical cancer vaccination in Japanese women. Int J Gynecol Cancer,
2010. 20(3): p. 385-392.
[3] Harumi Gomi and Hiroshi Takahashi Why is measles still endemic in
Japan? The Lancet, Volume 364, Issue 9431, Pages 328 - 329, 24 July 2004
[4] GAVI Alliance http://www.gavialliance.org/
[5] International AIDS Vaccine Initiative http://www.iavi.org/Pages/home.aspx
MRIC by 医療ガバナンス学会
2010年9月1日
以前も書いた、パブリックコメントからの抜粋。
https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/21-6618.html
また、ポリオに関しては、私は昭和51年生まれなのですが、区からの案内に「昭和50年~52年生まれの親は抗体が弱く便から稀に感染することがあるので手をよく洗いましよう」とありました。お母さん仲間で「親もワクチン接種をしないと感染するかもしれない」と噂になり、またかかった場合どうなるのかわからず不安でした。医院に問い合わせたところ個体接種しかできないから普通の病院では無理」「別にしなくても大丈夫、なぜそんなに心配するのか」といわれ、区の問い合わせ先では「その頃のポリオワクチンは品質が悪く2回接種していても抗体ができていないJと、心配をあおる説明ばかりでした。
外来でもこの話題になりましたので、書くことにします。
昭和50年(1975年)から昭和52年(1977年)生まれの方は、ポリオに対する抗体価が低いのがわかっています。簡単にいうと、ポリオを発症して麻痺になる可能性があります。もっと具体的に書くと、生ポリオワクチン(OPV)を子どもに接種して、ウイルスが強毒化し、それが便として排出され(VDPV)、オムツ換えなどを介して保護者に感染し発症する可能性があるのです。(一部訂正)
原因は、
ということです。
ここに国立感染症研究所のコメントがあります。
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cQA009.html
現在、昭和50 年~52年生まれの人に接種を勧奨していますが、接種は任意接種となります。子供と同様に保健所で対応可能かどうかはそれぞれの市区町村によって対応が異なるため、お住まいの市区町村に問い合わせてみることをお勧めしています。定期接種対象年齢以外の者については、予防接種センターのようなところで接種をしている地域が多いように思います。
この発言には、いつもながら驚かされます。ポリオの抗体価が低いのは、最終的には国の責任です。ですから、昭和50年~52年生まれの人にポリオワクチンを接種するのは国の義務でしょう。しかし、これは任意接種となり、また施行の判断も市区町村にゆだねられています。先ほどのパブリックコメントを見る限りは、世田谷区では、成人のOPV接種を行っていないのでしょう。
ただし、不活化ワクチン(IPV)ならそのような心配もありません。
また、もしOPVを選択する場合、
などの対策を立ててください(手洗いはOPVに関係なくともしましょうね)。
朝日新聞の記事や私や他の方のホメオパシーに関するブログを見て、不快になった・憤ったという方もいるかもしれません。
ご存知かも知れませんが、こういうのも読んでみてください
今ホメオパシーから離れつつある人たち。「私はこれから一体どうしたらいいのだろう」の声。 http://ameblo.jp/moonsun3/entry-10613912811.html
それから、
ホメオパシーに信頼を寄せてきた皆さんへ http://ameblo.jp/fireflysquid/entry-10632967597.html
ここからの引用、
今後ともよろしくお願いします。
http://www.asahi.com/national/update/0901/TKY201009010511.html
保健室でホメオパシー 沖縄の養護教諭、生徒に砂糖玉
沖縄県名護市の公立中学校の養護教諭が5年以上前から、保護者や校長、校医の了解を得ずに、民間療法「ホメオパシー」で使う「レメディー」という砂糖玉 を、保健室で生徒に日常的に渡していたことがわかった。複数の生徒や卒業生によると、教諭は「普通の薬はいけない」と話していたという。保健室に特別の装 置を持ち込み、砂糖玉を加工していたという。校長や同市教育委員会は本人から事情を聴き、中止するよう指導した。
(略)
生徒や卒業生は「頭痛や生理痛で保健室に行くと、『レメディーは副作用がない』と言って渡された」「普通の薬はダメと言われた。部活の遠征にもレメディーを持たされた」などと話している。ある生徒は「熱が出た時も『家で飲みなさい』と渡された」という。
(略)
新型インフルエンザが流行した昨年、「インフルエンザを予防できるレメディー」を渡され、予防接種を受けなかった生徒もいる。
また、この養護教諭は、砂糖玉をレメディーに変換するという装置を保健室に持ち込んでいた。縦横が約30~40センチほどの装置で、症状に応じて生徒の目の前で砂糖玉を加工していたという。
(略)
養護教諭は朝日新聞の取材に「直接の取材は受けない。質問は文書でホメオパシー医学協会に」と話した。同協会からは回答がなかった。 (略)
この養護教諭とホメオパシー、やってくれましたね。という感じです。一部のホメオパシーと沖縄の特定の養護教諭との関係については、うわさには聞いていましたが、ここまでひどいとは思っていもいませんでした。
ホメオパシーを個人的に行うのはまったくかまわないと思うのですが、他人、それも未成年に学校でホメオパシーを薦めるとは何事でしょう?ホメオパシーでは現代の医学・薬・ワクチンを否定しないということですが、『複数の生徒や卒業生によると、教諭は「普通の薬はいけない」と話していたという。』・『砂糖玉をレメディーに変換するという装置』という事実は、いいわけができないでしょう。
話は変わりますが、先日養護教諭についてかかわりを持つことがありました。ひとつは、食物アレルギーでアナフィラキシーが起こった場合の対処法について話し合いをし、エピペンの練習を行いました。もうひとつは、養護教諭の実習生が外来見学に来ました。勉強熱心で男性学生が多いのが印象的でした。
当然のことならが、ホメオパシーの話は少しも出ませんでした。アナフィラキシーをレメディー(ホメオパシー)で治すからエピペンなんかいらない なんて養護教諭が話したらどうしようかと思ったのですが、世田谷の養護教諭はまともです。
さて、ポリオワクチンですが、現行の生ポリオワクチン(OPV)はすぐにでも中止すべきでしょうか?世田谷区でも該当年齢の方には10月ポリオの通知が着たとおもいます。判断に迷うところです。
OPVが危険だ・危ないと、声を大きくすればするほど、正常な判断が失われます。
判断としては
というのがあると思います。
まずは、それぞれのワクチンを見比べてみましょう。以下のデータは「ワクチンと予防接種のすべて」という本から参照しました。また、こちらも参照してください。
http://homepage3.nifty.com/drleoking/polio-jpn.pdf
生ワクチン(OPV) | 不活化ワクチン(IPV) | |
---|---|---|
代表的な開発者 | セービン | ソーク |
代表的な使用国 | 日本、発展途上国の大半 | アメリカなどの先進国 |
接種費用 | 安価 | 比較的高価 |
接種法 | 経口 | 注射 |
強毒株への突然変異 | 極めて稀に有り | 無し |
混合ワクチンの可能性 | 別に接種 | 可能(DPTなどとともに) |
まずは、価格ですが、OPVは定期接種では基本的に無料です。IPVの場合製造過程以外にも日本では診療機関の個人輸入になるので、コスト的に高くついてしまいます。IPVの料金は診療機関によって違うので、個々に問い合わせてみてください。
強毒株への突然変異による発症(VAPP)ですが、440万人の接種者につき一例というデータがありますが、ポリオの会などのお話を聞くともう少し多いのかもしれません。
2月19日に、日本国内において、ポリオに感染して赤ちゃんの足が麻痺するという事例が発生したと報道されています。 感染経路は不明ですが、検出されたウイルスは、生ポリオワクチンのウイルスが変異したもので、ご家族以外の方の接種されたポリオワクチンのウイルスが人から人への感染を引き起こしたものです。
2004年9月のWHOのレポート(下記参照)によれば、ポリオの生ワクチンは、新生児100万人あたり、2-4人のワクチン由来の麻痺(VAPP)が 発生すると報告されています。このため、先進各国では生ワクチンから不活化ワクチンへの切り替えが済んでおり、日本だけが取り残された状態(下記地図)に なっています。
日本では、予防接種後副反応報告書集計報告(厚労省健康局)によれば、平成18年度に3名、19年度に4名、暫定ですが20年度には7名もの麻痺患者が 報告されています。最近の出生数は年間約100万人ですから、毎年、数十万人に1人の割合で、ワクチンによる麻痺患者が出続けている状態です。
日本で自然ポリオがいないのだから、何でポリオワクチンをするのだという意見もあるかとは思います。しかしながら世界のどこかでポリオウイルスがいる以上、日本に再上陸しない可能性はありません。外国からのポリオ侵入を阻止するには、ワクチンの高接種率を維持することが重要です。日本を完全鎖国しない限り、現在のところポリオワクチンは中止にはできません。
また、前述の通り接種率が低下すればポリオが流行することも考えられるので、個人的に接種を控えるということもお勧めできません。他のワクチンと比べて優先する必要はありませんが、いずれは打っておきたいです。
私の子どもには悩んだ挙句、現行のOPVを2回済ませました(当時はまだIPVが簡単に入手できなかったという事情もあります)。場合によっては、私も含めてIPVを二回追加する予定です。ただ、今考えると、先にIPV二回してその後定期接種でOPV二回でもよかったのかなとも思います。
当ブログ初コメントのhitさんの発言も参考になります。
ここら辺を判断材料にできればと思います。
理解困難な日本脳炎に関する通知ですが、概要をアップしておきます。ワードからの転載です。これでも、わからないことだらけですが・・・
予防接種実施規則の一部を改正する省令 概要
1 改正の趣旨
日本脳炎については、その発生及びまん延を予防するために予防接種を行う疾病として、予防接種法(昭和23年法律第68号)に位置づけられ、平成6年から定期の予防接種が行われている(同法第2条第2項第6号)。
この予防接種を実施するため、予防接種法施行令(昭和23年政令第197号)において、接種対象者を生後6か月から90か月(7歳6か月)までの者、9歳以上13歳未満の者と定めた(同令第1条の2第1項の表日本脳炎の項)上で、予防接種実施規則(昭和33年厚生省令第27号)において、使用するワクチン、接種方法等を定めている(同令第15条及び第16条)。
しかしながら、平成17年にマウス脳による製法の日本脳炎ワクチンを接種した後に重症ADEM(急性散在性脳脊髄炎)を発症した事例があったことから、より慎重を期すため、感染リスクが高く特に接種を希望する者に対する接種の機会の提供を行いつつ、行政による一律的で積極的な接種の勧奨は差し控えることとし、「定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて(勧告)」(平成17年5月30日付け健感発第0530001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)により、各都道府県に対し接種の積極的な勧奨の差し控えを求めたところ。
現在は、新たに開発された乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(※1)の供給実績や副反応報告の状況を勘案し、専門家の意見を踏まえ、「日本脳炎の定期の予防接種について」(平成22年4月1日付け健発0401第19号厚生労働省健康局長、薬食発0401第25号厚生労働省医薬食品局長通知)により、平成22年4月から、日本脳炎の第1期の標準的な接種期間(3歳)に該当する者に対する接種の勧奨を再開している。
接種勧奨の再開に伴い、勧奨差し控えによって接種を受けなかった者に対しても接種機会を確保する必要がある。また、これまで使用してきたマウス脳による製法の日本脳炎ワクチンについては、今後使用することがなくなることから、予防接種実施規則から削除するとともに、第2期に使用するワクチンとしても、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを位置付ける(※2)必要がある。
※1:今般開発されたワクチン(乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)については、平成21年6月に予防接種実施規則を改正し、第1期の予防接種において使用できることとなっている。(予防接種実施規則の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第117号)により措置。)
※2:第2期(9歳以上13歳未満)に使用するワクチンの追加については、6月22日に予防接種部会において使用可能なワクチンとして位置付けるべきとの報告がなされたところ。
2 改正の内容
(1)過去に接種を受けなかった者に対する接種機会の確保
【附則に規定する理由】
今般の措置は、平成17年5月30日から平成22年3月31日までの間、接種勧奨を差し控えていたことにより接種を受けなかった者に対して接種機会を確保するための特例的な措置であることから、対象者は限定されており、かつ、増加する見込みはない。したがって、附則において措置することが適当である。
【附則第4条第1項関係】
当分の間、平成22年3月31日までに日本脳炎の第1期の予防接種のうち、3回の接種を受けていない者(接種を全く受けていない者を除く。)であり、今般の特例による接種を受けようとする時点において予防接種法施行令で定める対象年齢(6か月から7歳6か月までの者及び9歳以上13歳未満の者)に該当するものが、6日以上の間隔をおいて残りの接種を受けたときは、同条に規定する日本脳炎の第1期の予防接種を受けたものとみなす特例を規定する。
【附則第4条第2項関係】
当分の間、平成22年3月31日までに日本脳炎の第1期の予防接種を全く受けていない者であり、今般の特例による接種を受けようとする時点において予防接種法施行令で定める対象年齢(9歳以上13歳未満の者)に該当するものが、第15条の例によって接種を受けたときは、同条に規定する日本脳炎の第1期の予防接種を受けたものとみなす特例を規定する。
※ 日本脳炎の第1期予防接種をまったく受けていない6か月から7歳6か月までの間の者については、本則第15条に基づいた第一期接種を受けることができることから、特例を規定する必要はない。
※ 平成22年4月1日以降、3歳児に対する接種勧奨の再開に伴い、同日から施行日までの間に一部の接種を受け、今後、本則第15条に沿った接種を予定している者については、特例を適用する必要はない。(この旨は、運用上周知する)
※ 今般の特例によって日本脳炎の第1期の予防接種を受けたものとみなす趣旨は、施行日以後附則第4条に基づいて接種を受けた場合に、当該接種を定期接種とみなし、予防接種法上の救済措置の対象とするもの。過去に第15条の接種方法によらずに任意で接種を受けた場合に、当該任意の接種について遡及して定期接種とみなすものではない。
(2)使用するワクチンの追加及び削除
予防接種実施規則第15条及び第16条から「日本脳炎ワクチン」を削除するとともに、同令第16条に「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」を追加する。
なお、日本脳炎ワクチンは既に生産されておらず、最終出荷分についても本年3月に使用期限を経過しているため、実際上、ワクチンが使用される可能性はない。今般、このような実態を踏まえて「日本脳炎ワクチン」を削除するものであるため、流通在庫に配慮した経過措置は不要である。
3 根拠規定
予防接種法第10条
4 公布・施行期日
公布 8月27日
施行 公布の日
【緊急】不活化ポリオワクチンを勧めたい~同志募集 https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-33eb.html
で、紹介した宝樹先生が不活化ポリオワクチンについてインタビューを受けるということです。ゲストも参加する予定。
時間が許せば、私も発言したいです(できるかな?)
http://www.ustream.tv/channel/takaragi
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