昭和50年(1975年)~昭和52年(1977年)生まれの保護者の方、子どものポリオには気をつけて
以前も書いた、パブリックコメントからの抜粋。
https://setagaya-syouni.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/21-6618.html
また、ポリオに関しては、私は昭和51年生まれなのですが、区からの案内に「昭和50年~52年生まれの親は抗体が弱く便から稀に感染することがあるので手をよく洗いましよう」とありました。お母さん仲間で「親もワクチン接種をしないと感染するかもしれない」と噂になり、またかかった場合どうなるのかわからず不安でした。医院に問い合わせたところ個体接種しかできないから普通の病院では無理」「別にしなくても大丈夫、なぜそんなに心配するのか」といわれ、区の問い合わせ先では「その頃のポリオワクチンは品質が悪く2回接種していても抗体ができていないJと、心配をあおる説明ばかりでした。
外来でもこの話題になりましたので、書くことにします。
昭和50年(1975年)から昭和52年(1977年)生まれの方は、ポリオに対する抗体価が低いのがわかっています。簡単にいうと、ポリオを発症して麻痺になる可能性があります。もっと具体的に書くと、生ポリオワクチン(OPV)を子どもに接種して、ウイルスが強毒化し、それが便として排出され(VDPV)、オムツ換えなどを介して保護者に感染し発症する可能性があるのです。(一部訂正)
原因は、
- OPVは3回接種する必要があるのに、日本では2回しか行っていない
- 当時のOPV自体に問題があり、充分な効果を得ることができなかった
ということです。
ここに国立感染症研究所のコメントがあります。
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cQA009.html
現在、昭和50 年~52年生まれの人に接種を勧奨していますが、接種は任意接種となります。子供と同様に保健所で対応可能かどうかはそれぞれの市区町村によって対応が異なるため、お住まいの市区町村に問い合わせてみることをお勧めしています。定期接種対象年齢以外の者については、予防接種センターのようなところで接種をしている地域が多いように思います。
この発言には、いつもながら驚かされます。ポリオの抗体価が低いのは、最終的には国の責任です。ですから、昭和50年~52年生まれの人にポリオワクチンを接種するのは国の義務でしょう。しかし、これは任意接種となり、また施行の判断も市区町村にゆだねられています。先ほどのパブリックコメントを見る限りは、世田谷区では、成人のOPV接種を行っていないのでしょう。
ただし、不活化ワクチン(IPV)ならそのような心配もありません。
また、もしOPVを選択する場合、
- 保護者も一緒に接種できる体制を探す
- (保護者がOPVをしても)接種後一ヶ月くらいはオムツを替えた後よく手洗いをする
などの対策を立ててください(手洗いはOPVに関係なくともしましょうね)。
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コメント
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私は75年生まれで、7月出産予定です。ポリオの抗体価の話はまったく知りませんでした。出産前に知って良かったです。これから妊娠、出産の同級生たちにも伝えます。
投稿: 小川ゆみえ | 2012年5月25日 (金) 08時57分