「この子は○○です」というスティグマ・あるいは"知らぬが仏"
何気ない気持ちで・あるいは覚悟を決めて病院に行き、医師から伝えられる「この子は○○です」言葉。○○は、、、発達障害(自閉症・アスペルガー症候群)だったり、先天異常だったり、喘息だったり、HIV陽性だったり、、、いろいろあります。共通しているのは、程度の差はあれ、保護者(多くの場合母親)が驚き嘆き悲しむことです。
母親によっては、スティグマを自分自身が背負うこともありますし、子どもにスティグマを負わせてしまったと感じる母親もいます。スティグマを(恥)と訳す人もいますが、烙印とか、場合によっては宗教がらみで聖痕と思う人もいるようです。
ハンセン病とスティグマで検索してみたら、ウィキペディアに項目がありました。
誰もが好き好んで、スティグマを負いたくないし、負わせたくもありません。診断する医師も場合によってはストレスを感じることもあるのです。
しかし、診断することで今後の見通しがつくこともあります。発達障害であれば見合った対応法があります。喘息であれば、お父さんが禁煙してくれるかもしれませんし、適切な治療をすれば夜間の咳にさいなむ事は少なくなります。今はHIV陽性でも直接死に結びつくことはありません。
絶対迷わない告知はありえません。告知によって傷つくこともあります。しかし、果実をもぎ取るには痛みを伴うことがあるのです。
ドラッグラグについて調べていたら、卵巣がん体験者の片木美穂さんの文章が目にとまりました。日本では卵巣がんに使える抗がん剤が限られているのです。
http://medg.jp/mt/2009/11/-vol-343.html
そして当局からも「薬害被害者のみなさんをごらんなさい。治療薬の承認は彼らの心情にも配慮してあげないと」と言われました。同行したスマイリーのメンバーからも「"知らぬが仏"という言葉がある。薬害が起きたら責任が持てないし治療薬がないということを世間に知らせる必要はないじゃないか。署名を提出したのだからもう終わりにしよう。」と言われたこともありました。
あまりの心苦しさに、思わず息が詰まりそうになりました。空気が回りにあるのに、十分吸えない。
昔々の話ですが、小児期からの慢性疾患で成人になっても病名を告げられていない患者さんがいました。病名を告げていない保護者の希望ということで、十分な治療を受けいませんでした。治療を受けさせるためには、子どもに病名を知らせないといけません。"知らぬが仏"ということだったようです・・・こういったお子さんを作りたくはありません。
そんなことを書きながらも、社会や家庭は複雑なんだと思う、今日この頃。
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