グリパスCの思い出
数年前の出来事です。ある女の子が、外来にやってきました。以前からアトピーは別のクリニックにかかっていました。ステロイドは使いたくないということで、脱ステロイドを謳ったクリニックを回っては、治らないということで、ほかのクリニックに通う・・・そういったことを繰り返していました。
その女の子は、全身が真っ赤になり(紅皮症)、いろいろなリンパ節が累々と腫れていました。医者であれば、最悪の状況(悪性腫瘍)をが頭をよぎります。
母親の話を聞いてみると、とある皮膚科(やはり脱ステロイド)で処方された「大豆クリーム」を塗ったらこうなったということでした。院内処方なので、薬の内容はわからないということでした。
何はともあれ、その皮膚科に電話してどういった処方なのかを聞いてみました。そのドクターは、大豆クリームとはグリパスCだとおっしゃっていました。また、「私はグリパスCを何十年と処方しているが、そうなった例は一度もありません」ともおっしゃっていました。何だがけんか腰です。こちらは普通に話している(はず)なのに。
グリパスCの内容は、
- グリテール(脱脂大豆乾燥タール) 抗炎症効果がある
- 酸化亜鉛 皮膚の収斂作用がある
- ジフェンヒドラミン 抗ヒスタミン剤・かゆみ止め効果がある
というものです。脱ステロイドでよく使われる軟膏です。
http://www10.ocn.ne.jp/~fujisawa/mokutar.html
(タールって発ガン物質などでは!!と不安がよぎりましたが、コールタールとは違うようです)
皮膚に関しては専門のところで調べてもらいましたが、アトピーのコントロール不良による炎症の悪化およびそれに伴うリンパ節の腫脹ということでした。リンパ腫などではありませんでした(ほっ)。
皮膚に関しては、説明を行いステロイドを使ってもらいました。今ではすべすべのお肌です。
ふとしたところで、グリパスCが製造中止になったことを聞き、このお話を思い出したしだいです。
ちなみに、紅皮症騒ぎのときにグリパスCを取り寄せてみましたが、ものすごい臭い。たとえて言うならば、ふた昔ぐらい前の病院の臭いです。そうか、あの臭いはタールだったのか。
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