ホメオパシーどうしよう?
出生時に開業助産師がビタミンKを使用せず、その後頭蓋内出血の為死亡した乳児をめぐって、民事裁判が起こされていました。まずは、なくなったお子様とご家族に深い哀悼の意を表したいと思います。
どうやらこの助産師さんはホメオパシーを使っていたようです。私がいろいろと書くよりも、この経緯について詳しく載せてあるサイトがいくつかあるので紹介します。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100711 (新小児科医のつぶやき・ビタミンKのおはなし)
いわずと知れた、アルファブロガー小児科医のブログです。よくまとまっています。
http://jyosanin.blog78.fc2.com/blog-entry-410.html (助産院は安全?・「ビタミンK与えず乳児死亡」母親が助産師提訴)
裁判になる前から、この件について言及されていました。また、「お願いがあります」も 必ず読んでください。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1278636524 (kikulog・ビタミンK問題: 助産院とホメオパシー[追記は随時あり])
kikulogです。コメントが膨大ですが優駿です。ホメオパス(ホメオパシーを処方する人?)のコメントもあります。
ホメオパシー側からの擁護の発言も見つけましたが、ここでは載せません。
この件については、本当にいろいろな問題があり、一まとめにはできないかもしれませんが、それなりにまとめています。
1.ホメオパシーって医学的にはどうなの?
まずはホメオパシーの歴史から。
http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100214/1266167562
http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100221/1266768657
不謹慎かもしれませんが、正直面白かったです。医学史から見てそれなりに意義はあったのかもしれないが、今では実証に耐えられないといっていいでしょう。漢方と同じイメージを持つひつもいるかもしれませんが、あまりにも違います。海外でも健康保険の適応は外されつつあります。かといって禁止するわけにも行かず・・・今では、いわゆる健康食品程度の位置づけだと思います。
2.ホメオパシーって現代医学に対して排他的なの?
以前ホメオパシーについてブログに発言したら、ものすごい反響に驚いたという人からお話をうかがうことができました。ホメオパシー対する思いは、各人・各団体で温度差があるのではと思います。ホメオパシーの団体もいろいろあるようで、予防接種も反対というホメオパシー団体もいます。
今回の裁判になった該当の助産師は、現代医学に対して排他的な団体に所属していたと聞いています。ビタミンKも毒だというのですね。
鳩山前首相の掛け声で作られたホメオパシーなどの保険適応・資格を検討する厚生労働省の統合医療プロジェクトチームですが、、、今はほとんど動いていないようです。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html
3.じゃぁ、西洋医学以外の医学(いわゆる代替医療)は全部いんちきなの?
この問いに「そうです」とは答えられないです。西洋医学も「いんちき」といわれかねないところもあります(汗)。今病院や診療所で行われている医療がベストとは言いません。
「代替医療」とは現代の西洋医学とは違う(alternative)という意味です。伝統医療や民間医療などがこれに当たります。しかし、代替医療の中には必ずしも現代医療と相反するものではないケースもあり、補完代替医療(Complementary Alternative Medicine・略してCAM)と呼ばれています。アメリカでは専門の国立研究センターがあるということです。
4.助産師さんはどうしてホメオパシーを使っている人が多いの?
勿論すべての助産士さんがホメオパシーを使っているわけではありません。ただ、使っている人は多いようです。少なくとも産婦人科医よりは多いといえるでしょう。
でも、どうして助産師さんに多いのでしょうね。実は学校の一部の養護教員にもホメオパシーは広がりつつあります。共通の理由があるのかもしれません。
http://shibuken.seesaa.net/article/108176645.html
日本助産師会はホメオパシーについてどう思っているのでしょう?
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1255703090
2.ホメオパシーを実施する助産所が児の予防接種を勧めないかどうかについて、数ヶ所の助産所に電話で確認したが、その事実はなかった。今後、助産所において、そのような指導がなされていることが判明すれば、本会としては直接指導することや、中止するよう働きかける必要があると考えている。
「電話で確認」など、本気で調査しているのではないでしょう。
それから、今回の裁判を受けてのコメント
http://www.midwife.or.jp/pdf/k2.pdf
それゆえ、ビタミンK2の投与や予防接種は、インフォームド・コンセントのもと推奨されるべきである。
今回のニュースでもコメントでもホメオパシーという言葉は表立って出ていませんが、唐突に「予防接種」という単語が出ているのは、「この件はホメオパシーが絡んでいます」といっているのと同じです。
助産師会主催のホメオパシー講習会というのもあるようです。
http://putorius.mydns.jp/wordpress/?p=716
5.話は戻るけれど、ビタミンK2があるならK1もあるの?
日本にあるアメリカの病院(どこ?)では、赤ちゃんにビタミンK2シロップではなく、K1の筋注をしていました。
http://merckmanual.jp/mmpej/print/sec01/ch004/ch004n.html
今回訴えられた助産師は、ホメオパシーの「薬」を染込ませた砂糖玉(レメディ?)を、ビタミンK2シロップの代わりに与えたということです(新生児に固形物を与えるというのは危険行為です)。また、母子手帳にはレメディではなくビタミンKを与えたと記載したとのことです。
6.世田谷区でビタミンK2を投与しない助産院はありますか?
ありません!(と信じたいです)
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