皮下注と筋注
予防接種をするときに、針をどこに刺すか見たとことがありますか?
注射にはいくつかの方法があります。まずは、筋肉内に注射する筋肉内注射(筋注)、筋肉の上の脂肪組織の中に注射する皮下注射(皮下注)、さらに皮膚の薄い層の間(表皮と真皮の間)に注射する皮内注射があります。
http://ameblo.jp/king-of-nasubi/entry-10009084477.html
外国のほとんどの予防接種は筋注です。子供の筋肉は少ないため、太ももの筋肉ですることもあります。とくに、DPTなどの不活化ワクチンは腫れやすいため、深く注射する筋注がいいのです。しかし、日本では原則として皮下注です。一部の小児科医は、DPTなどはやや深めの「筋注に近い皮下注」をしていると思います。
しかし、何で日本だけ筋注はできないのでしょう?これには、悲しい歴史があります。
日本でも筋注が医療施設で頻繁に行われていた時代がありました。「風邪を引いたらお尻に注射」といった感じです。その注射で、筋拘縮が起こる事件が起こりました。これが筋拘縮症です。局所的に多発したため、地域の名前を冠した病名で言われることもありました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E7%9F%AD%E7%B8%AE%E7%97%87
ご想像のとおり、この病気は多くの場合特定の施設で、特定の薬剤で起こりました。メチロンという解熱剤が多かったです。風邪に必須の注射ではありません。筋注が悪かったのではなく、不要で危険な薬を筋注したのが悪かったのです。
しかし筋拘縮症による訴訟が相次ぎ、「筋注=悪」というイメージが定着してしまったのかもしれません。
桑畑メモ(注射禍の大腿四頭筋短縮症医原病について):タイトルだけで内容が予想できると思います。当時の患者さんの苦悩がわかります。
http://www.binsyodo.com/medicaldoc/kuwahata/kasahara2/chyusya.html
筋短縮症事件:上と同じような内容です。
http://www.mi-net.org/yakugai/dacases/injection/injreduction.html
ワクチンは皮下注で良いの?:成人のワクチンが中心ですが、各ワクチンでの考察があります。
http://www.nobuokakai.ecnet.jp/5093.html
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