B型肝炎訴訟
本日のニュースです。
B型肝炎訴訟 国、和解協議入りを正式表明 札幌地裁 http://www.asahi.com/health/news/TKY201005140181.html
集団予防接種の注射器の使い回しなどが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、・・・・
これをみて、皆さん今のB型肝炎の患者さんは、ほとんどが予防接種のまわしうちによってうつったのでは、と思うかもしれません。
ところが必ずしもそうではありません。
B型肝炎とは、血液によって感染しますが、大きく分けて二つの経路があります。ひとつは、母親から生まれる際に感染する「垂直感染(母子感染)」。もうひとつが、血液・体液を介して感染する「水平感染」です。
垂直感染では、新生児の感染対策が施されて激減しました(0ではありません)。水平感染は今も続いています。
以前診た慢性B型肝炎の患者さんは、感染経路がわからないということでした。母子感染でもないし、年齢から言っても予防接種が原因ではありません。そういえば、ゲームセンターのトイレに無造作に捨ててあった(!)注射器の針を触れてしまったから、肝炎やHIVの検査をしてほしいという人もいました。麻薬の回し打ちが横行している地域でした。
原告団が「一律救済」を求める気持ちはよくわかります。感染したのはその人の責任ではありませんし、いやな言葉ですが線引きされることで「対立」が生まれるのかもしれません。
しかし、「全部ワクチンが悪い」というわけではないのです。「巷で言われているから」というから鵜呑みにするのは、他山の石としなければいけません。
B型肝炎訴訟に関連した誤解とメディアの責任
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/5d1ddb1260462bbcacff9588488f91fd
新聞各社への問い合わせ結果(B型肝炎訴訟報道)
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/8cb76977e31cea88deb478eed55326e6
そもそも、母子感染のみのB型肝炎ワクチンという、変則的なものではなく、新生児全てにB型肝炎ワクチンを行うのが、まっとうでしょう。WHOの予防接種拡大計画(EPI)にもB型肝炎が挙げられており、世界の多くの子どもたちがB型肝炎ワクチンを受けています。日本の最近のB型肝炎は、慢性化しやすいタイプに移行しています。今後のことを考えれば、接種したほうがいいでしょう。
おまけ
WikipediaのB型肝炎を見ていたら、こんな既述がありました。
近年、日本ではあまり見られなかったジェノタイプA(北米、欧州、中央アフリカに多く分布する)のB型肝炎ウイルス感染が広がりつつある。ジェノタイプA のB型肝炎ウイルスに感染した場合、その10%前後が持続感染状態(キャリア化)に陥る。本来、日本に多いジェノタイプCのB型肝炎ウイルスは、成人して からの感染では、キャリア化することはまれであったことから、ジェノタイプAのB型肝炎ウイルス感染の拡大には、警戒が必要である。これはこんなに 強調することは不要です。なぜならホモセクシャルの間での感染が見られるだけで、極めて稀にしか感染は起こらないからです。
日本では、戦後から昭和63年頃まで行われた幼児期の集団予防接種における注射針の使い回しにより、HBVウイルスが蔓延した。国は昭和23年には注射 針・注射筒の連続使用の危険性を認識していたが、40年にわたり使い回しの現状を放任していた。現在、推定150万人の持続感染者(キャリア)の内、集団 予防接種による感染者は30%前後と言われている。←根拠あるのでしょうか?もっと高いと思われます。
イタリック体のなっているのは同一人物の修正です。その修正内容を確認してみます。
「免疫不全(HIV感染下)の性交渉」だけではなく通常の性交渉でも、B型肝炎は感染するのですけれどね。
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=B%E5%9E%8B%E8%82%9D%E7%82%8E&diff=32026271&oldid=31795155
http://megalodon.jp/2010-0514-2046-05/ja.wikipedia.org/w/index.php?title=B%E5%9E%8B%E8%82%9D%E7%82%8E&diff=32026271&oldid=31795155(魚拓)
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