16.各種感染症における抗菌薬の選択
使用薬剤が、菌種によりかなり変更されている
I 原因別薬剤選択
主なもののみ記載
ブドウ球菌
今までブドウ球菌とMRSAに分かれていたのが、ブドウ球菌(MSSA)、MRSA、CNSの三つに変更。
ブドウ球菌(MSSA) FMOX, CFDN, CDTRが削除。CEX追加。IPMがIPM/CSに変更。
MRSA 「・・・とFOM、CMZの併用」が削除。ST追加。
BLNAS、BLPAR、BLNARについて追加
レンサ球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌で、AMPC追加
Pc高度耐性肺炎球菌でCFPN削除。PAPMがPAPM/BPに変更。
インフルエンザ桿菌 CFIX等の経口セフェム剤が、CFIXのみに変更。重症感染症でのAZTが削除。
II 頻度の高い小児感染症の薬剤選択(起炎菌検出前)
感染症に百日咳が追加。
尿路感染症の腎盂腎炎の第1選択でSBT/ABPCが追加。
肝膿瘍の第一選択で、IPM/CS、MEPMが追加。
骨髄炎の第一選択で、CEZ+CLDM、CTX、CTRX、SBT/ABPC追加
敗血症性関節炎でCTX、CTRX追加
重症壊死性軟部組織感染症の第一選択がCTX+CLDM+MINOからCTX、CTRX+CLDMに変更。
III 重症感染症初期治療における抗菌剤選択と投与方法
A 細菌性(化膿性)髄膜炎
1) 菌検出前
1-3ヶ月未満 CTX 200mg/kg/日がCTX200-(300)mg/kg/日に変更。
3ヶ月以上で、PAPM120mg/kg/日がPAPM100-(160)mg/kg/日に変更。
2)インフルエンザ桿菌
「ABPC感受性なら・・・分4-6静注」が「分4静注」に変更。
5)B群溶連球菌
「CTX併用」が「CTX、またはCTRX併用。14-21日」に変更。
6)大腸菌など
「21日」が追加。
「治療期間は、菌消失後で全身状態の改善、髄糖液の正常化、炎症反応陰性を確認後、1週間程度継続するのが基本である」
B 感染性心内膜炎
詳細は割愛。
C 敗血症
具体的な投与量について言及。好中球減少患児に、MEMPの追加あり。
免疫グロブリンの投与について「特に毒素性ショック症候群、重症肺炎球菌感染症・インフルエンザ桿菌感染症など」と解説追加。
D 血液腫瘍患者の発熱
8)アミノグリコシド、VCM、TEICの投与法
アミノグリコシドとピーク値およびTEICのトラフ値の記載あり。
コメント
いい抗生剤も出てきていますが、耐性化も進んでいます。抗生剤は慎重に使ったほうがいいですね。カンピロバクターにクラリスロマイシンはもう効かないのでしょうか?
ヒブワクチンや乳児の肺炎球菌ワクチンが普及すれば、抗生剤の使い方も変わってくるかもしれません。
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