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2010年11月 1日 (月)

ベビースリングによる窒息の可能性について(速報)

 日本小児科学会雑誌に、こどもの生活環境改善委員会 Injury Alert (障害注意速報)が出されています。数カ月遅れでサイトにも載ります。
http://www.jpeds.or.jp/alert/alert.html

 立ち上げた山中先生からもお伺いしましたが、学会としてこれを立ち上げるのに相当苦労したということです。

 日本小児科学会雑誌の10月号に、ベビースリング内での心肺停止という報告がありました。あらましを載せることにします(一部情報を伏せます)。ご冥福をお祈りいたします。

年齢:2カ月27日女児

母親がスリングを使用しながら、家族(父親と子ども2人)と帰宅途中であった。スリングの使用については、上の兄弟に使用していたが、本児に対しての使用は当日が初めてであった。一枚布のスリングで、使用法としては児の顔を含め全身を覆うような使い方で、外からは児の顔が見えない状態であった。スリングが市販のものか、自作のものかは不明である。

家族で遊びに行き、帰りの電車内で母親にスリングで抱っこされていた。スリングは、顔を含めて全身をつつみこむように使用していた。16:20頃、スリング内で児が入眠しているのを母親が確認した。16:45に電車を降りた。16:50頃、体動がなくなり、母親が児が寝たと認識した(呼吸の有無は確認しなかった)。17時過ぎ、帰宅しスリングから児を降ろしたところ、ぐったりしており呼吸をしていなかった。

 ベビースリングは、いわゆる抱っこひもです。一枚の布とリングで赤ちゃんを抱っこします。おしゃれなスタイルで児と密着できることから、最近メジャーになりました。

 ベビースリングは以前から転落や股関節脱臼の危険性が指摘されていました。また窒息の報告例も海外ではありました。今回はSIDSと鑑別がついたわけではありませんが、海外で報告されて日本では起こらないということではないでしょう。

 今「ベビースリング」で検索するとおしゃれで魅力的なサイトが出てきますが、ベビースリングについての危険性・安全性を論じたサイトがほとんどてきません。

 一律にベビースリングを禁止するよりも、安全にベビースリングを使うにはどうすればいいかを議論すべき時期に来ているのだと思います。カナダの保健省では危険な使用法を写真で紹介しています。スリングしたうえに、寒いからコートのチャックを閉めて児が圧迫される・・・なんて可能性もありますね。

http://www.hc-sc.gc.ca/ahc-asc/media/advisories-avis/_2010/2010_36-eng.php

 日本でも、国民生活センターが今年の3月にスリングの注意喚起を行っています。大事なことなので、こちらも御覧ください。

スリングや抱っこひもなど赤ちゃん用子守帯に注意 ‐窒息、転落、股関節脱臼の危険性も‐ http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100326_1.pdf

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コメント

少し前に出産した友達からこのスリングの存在を教えてもらったのですが、
画像で見た時から、危ないな・・・と思っていたのですが、
これに関する注意勧告をちらほら見かけるようになり・・・・
私用する時の注意として問題提起をしていく必要があるようですね。

こんにちは。有用な情報ありがとうございます。
スリングに関しては、月齢の小さい赤ちゃんに使用するのは危険ではないかと思っていました。
スリングが流行する前に東南アジアの国でよく見かけていましたが、だいたいは生後数か月以上の赤ちゃんで、お母さんの腰にまたがせるようにして抱っこする時に使用していました。
首もすわっていない赤ちゃんが体を屈曲するようにして埋もれてしまうことは、呼吸を抑制してしまうということですね。
同様の危険性として、授乳用クッションに赤ちゃんを立てかけて眠らせる方法(赤ちゃんが良く眠る)が勧められていたり、整体系ではかごのような中にに赤ちゃんを入れて子宮の中にいた状態にすると背骨に良いと勧めていたりします。このあたりにも、注意喚起が必要かもしれません。
スリングとは危険性が異なりますが、最近妊産婦さんのバランスボールを勧めているグループもあって、先日も新生児をあやすのにバランスボールに乗りながら揺らすという話を聞きました。転倒の危険性と、揺れが小さくても「揺さぶられっこ症候群」と同様の危険性があるのでは、と心配になります。

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