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2010年9月15日 (水)

OPVの真実:WHOの報告・麻痺数も心配だけどアウトブレイクも心配!!

twitter仲間でポリオ患者の方から、WHOのデータを教えてもらいました。

http://www.polioeradication.org/content/publications/OPVCessationFrameworkEnglish.pdf

 題名は、「Cessation of routine oral polio vaccine (OPV) use after global polio eradication」です。

 誤解無いように書いておきますが、WHOも

OPV is the appropriate – and only recommended - polio vaccine for achieving the eradication of wild  polioviruses worldwide.

と、ポリオ根絶のためにはOPVが適切で唯一推奨できると冒頭から書いてあります。その上で、VAPP(ポリオワクチンによって起こりうる麻痺)について言及しています。

1. Polio Cases due to Vaccine-Associated Paralytic Poliomyelitis (VAPP): the continued use of OPV will result in a predictable burden of polio disease due to VAPP.
VAPP cases will continue to occur at a rate of 2-4 cases per one million birth cohort, wherever OPV is used.

 OPVが使われると、どこでも出生百万人に2-4ケースでVAPPがおきる、ということです。日本で言われている、450万人に一人よりも多いです。以前書いたように詳細なサーベイランスは困難ですが、日本でもほぼ毎年VAPPが出ている以上WHO説のほうが正確かも知れません。

 さらに心配なのは、OPVが強毒化しそれが市井に出ることでおこるポリオのアウトブレイクです。ポリオワクチンは便から出るので、便・手洗いの管理が十分でなければ広まる可能性は十分にあります。

2. Polio Outbreaks due to circulating Vaccine-Derived Polioviruses (cVDPV): the continued use of OPV will result in a predictable rate of polio outbreaks due to cVDPVs.
Since 2000, four polio outbreaks due to cVDPVs have been documented in Hispaniola (in 2000-2001), the Philippines (in 2001), Madagascar (in 2002) and China (in 2004), resulting in a total of 31 polio cases. A fifth outbreak was described retrospectively in Egypt.

 2000年から2004年にかけて5件(うちエジプトの一件は後でわかったようですが)で、cVDPVによるアウトブレイクが報告されています。

Cvdpv

OPV Facts
If the worldwide OPV utilization patterns of 2005 continued after confirmation of the eradication of wild-type poliovirus, it is expected that there would be:
• 250 to 500 cases of VAPP per year,
• Up to one polio outbreak due to a cVDPV per year.

 これは読んで改めて背筋が寒くなりました。野生のポリオが撲滅されても2005年でのOPVが続いているならば、

  • ポリオワクチンによる麻痺(VAPP)が世界で年間250-500例発生する。
  • ポリオワクチン(cVDPV)によるポリオアウトブレイクが年間一例発生する。

 ということです。

 接種者の麻痺も怖いけれど、撲滅したはずのポリオがワクチンによって再発し感染者が広まるなんて恐ろしくないですか?WHO担当官は寝ても覚めてもcVDPVのことが心配と聞いたことがありますが、実感できます。

 他にもいきなりOPVをやめる危険性、そのためにはどうすればいいか、などわかりやすい英語で書いてあります。後で読むことにします。でも、日本のことは少しも書いてありませんね・・・

 

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