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2010年5月 2日 (日)

変わったレストラン(同時接種の不思議)

そのレストラン(レストラン日本ワクチン)の玄関には、大きな看板がありました。

  1. 当店の食事で食中毒を起こした場合、どの食事で食中毒を起こしたかわからなくなるので、食事は単品のみです。ただ、一部の食品は同時に食べてもOKです。
  2. 当店の食事を連日食べて食中毒を起こした場合も同様なので、来店間隔を6日間空けてください。

 他のレストラン(韓国ワクチン食堂やワクチンUSAカフェ)にはこういった看板はありません。みなさん、レストラン日本ワクチンに入りたいですか?

 日本のワクチンもこういったことが行われているのです。日本では長い間同時接種がタブーでした。

 同時接種で重篤な副反応が起こった場合、どちらのワクチンが原因か分からなくなるか同時接種をしない。こういったことが長年続いていました。他の国々では6種同時接種(!!)などが普通に行われているのにです。しかし、細菌性髄膜炎ワクチン(プレベナー・ヒブワクチン)や新型インフルエンザワクチンが世にでて、同時接種の議論をほとんどしないまま、特定のワクチンのみの同時接種が行われています。問題を整理してみましょう。

同時接種は厚生労働省が禁止しているのか?

厚生労働省が作成した、定期(一類疾病)の予防接種実施要領では、以下の記載があります。

18 他の予防接種との関係

(1)三価混合の経口生ポリオワクチン、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン又は、経皮接種用乾燥BCGワクチンを接種した日から別の種類の予防接種を行うまでの間隔は、27日以上置くこと。沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、日本脳炎ワクチン又は沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドを接種した日から別の種類の予防接種を行うまでの間隔は、6日以上置くこと。

(2)二種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う同時接種(混合ワクチンを使用する場合を除く。)は、医師が特に必要と認めた場合 に行うことができること。

 つまり、(2)を読めば、「医師が特に必要と認めた場合」に同時接種は可能ということことが分かります。この(混合ワクチンを使用する場合を除く)とは、混合ワクチンの場合同時接種をしてはいけないということではなく、混合ワクチンは同時接種と数えないという意味です。

同時接種で副反応が増すのか?

 相加的に副反応が出る確率が上がりますが、それぞれ独立しています。相乗的、つまり組み合わせが悪く特別に副反応が上昇するということはありません。ワクチン後に発熱することはありますが、同時接種で発熱するというのは良くあることのようです。アメリカでは、熱さまし(タイレノール:アセトアミノフェンでカロナールなどと同じ)を同時接種後に処方することがあります。

同時接種で効果が減弱することはあるのか?

 人間の免疫能力は十分にあり、多数のワクチンに対応できます。同時接種で効果が減弱することは、日本で普通に行われているワクチンではありません。

同時接種で不具合が生じた場合、補償は大丈夫なのか

 「犯人探し」が先行するため補償を受けられない、ということはありません。日本医事新報からの抜粋です。
http://www.jmedj.co.jp/magadetail.jsp?goods_id=1646

日本医事新報(4485:83-84)
定期接種における健康被害の救済は、「疑わしきは救済する」方向で進められている。定期接種と任意接種の同時接種により、どちらが原因かの診断がつかない健康被害が生じた場合は、救済時の補償が手厚い定期接種(勧奨接種)による副反応と診断して、救済を申請するのが現実的である。なお、同時に任意接種健康被害と定期接種の健康被害は申請できない。

 自治体で行っている補償もあるので温度差はありますが、基本的には「疑わしきは救済する」です。どちらが原因か分からないから保障はしないという地域があれば、教えてください。

「同時接種」ではなく「同日接種」は可能か?

 例えば、集団接種でポリオをして、同じ日に個別接種でDPTをおこなうなどが考えられます。医学的には可能で、一部の地域では行われています。

不活化ワクチンは連日打てますか?

 免疫の機能を考えれば、生ワクチン(MRワクチン・おたふくなど)は一度接種したら他のワクチンを打つのは四週間(民法上は27日)明けたほうがいいです。不活化ワクチン(DPT、ヒブワクチンなど)は、生ワクチンと違い連日接種しても免疫上は差し支えありません。しかしながら、前述の実施要綱(沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、日本脳炎ワクチン又は沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドを接種した日から別の種類の予防接種を行うまでの間隔は、6日以上置くこと。)や各ワクチンの添付文書にも6日以上開けると書いてあるので、それを変えることはできません。これもおかしな日本ルールのひとつです。

同時接種が大丈夫なら、ワクチンを混ぜてもいいんじゃない?

 同時接種の難点として、一度に痛い思いをしないといけないというのがあります。アメリカなどでは、「最高でDTaP, HB, Hib, PCV7, IPV, Rotaの6種同時接種でしょうか。Rotaは経口なので5箇所、全て両大腿に1cmおきくらいに接種されました。」という例もあります。
 ひとつにまとめたほうがいいのではと思うでしょう。海外では、「ジフテリア+破傷風+(無細胞)百日咳+B型肝炎+Hib+不活化ポリオ」混合のワクチンというのもあります。肺炎球菌ワクチン(PCV)との混合は私の知る限りはありません。日本でも、DPT+IPV(不活化ワクチン)の混合ワクチンの開発がすすんでいます。
 ただ、既製のワクチンを現場で混ぜでひとつの注射でこうなうということは、外国でもしません。

 日本のワクチン行政は、アメリカだけでなく他の国々からみても20年ほど遅れているといわれています。日本のワクチン行政は北朝鮮並だなんて、言う人もいました。今はワクチンに対する意識が代わり、少しずつですが向上しています。しかし、まだ足りないところも多数あるのです。

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