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2010年4月11日 (日)

喘息にLABAは安全か?NEJMの論文から

最初に:基本的に下手訳なので、訳し方の突っ込みは勘弁してください。

The FDA and Safe Use of Long-Acting Beta-Agonists in the Treatment of Asthma

N ENGL J MED 362;13 1169-71
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMp1002074

(訳:抜粋)

 何十年もの間、FDAと医学界は長期作働方β刺激剤(LABAs)のどうやって安全に使用するかを議論してきた。
 アルブテロール(SABA)に比べサルメテロールで治療した患者での喘息関連死のリスクが増大していた。1994年にサルメテロールを認可してから短期間で、FDAはサルメテロールを使用した患者での深刻な喘息悪化や死亡の報告を受け取り始めた。ホルモテロールでのより小さな研究で深刻な喘息悪化(一部は挿管を必要とした)を示した。

 FDAはLABAsの利益は、薬が適切に使用されたときにリスクを上回り続け、この薬は喘息の治療薬として残るべきだと結論している。しかし、深刻なリスクのためICSのような喘息コントローラーで十分に管理できない喘息患者のために取っておくことをFDAは推奨する。さらに、大規模で無作為化された対照臨床試験(contorolled trial)でICSと同時に投与されたLABAsの安全性が評価できるまで、FDAは長期のLABAs使用を限定すべきだと信じている。FDAA(FDA改善法)の影響で、2010年2月18日FDAはアメリカで製造されているすべてのLABAsの専門的な効能書きの必要性を推奨した。

  1. すべての年齢でICSのような喘息コントローラーの同時使用なしのLABAの使用禁忌。
  2. 可能であれば、一度喘息のコントロールがICSなどで達成し維持できればLABAの中止
  3. 少量や中程度量のICSで適切にコントロールできている患者での、LABA使用を薦めない。
  4. ICSに加えてLABAを必要とする小児や思春期の患者では、併用療法のコンプライアンスを確実にするために、LABAとICSの量が固定された併用製品を推奨。

 これらにはいくつの理由がある。ひとつは、すでにLABAは喘息コントローラーなしでは使用しないというのは常識であるにもかかわらず、新しい禁忌ではLABA単独療法の重篤な危険性を強調している。二つ目は、LABAsのリスクは薬が思慮深く使用された場合リスクを最小限にでき、長期のLABAを必要としない患者はそのリスクにさらすべきではないとFDAは信じている。三つ目はLABAsの長期使用の患者は、喘息コントローラー薬でコントロールできない患者に限定すべきである。
 最後に、LABAとICSを別々に投与された場合、小児と思春期ではコンプライアンスを確保するのが難しいため、FDAはこれらの年齢でLABAとICSを含んだ併用製品を推奨している。

 このFDAの推奨は処方する医師たちに驚愕を与えた。というのは、喘息治療のガイドラインと現在の慣例では、LABAとステロイドの併用を必要とする患者ではICSをステップダウンすることに、焦点が置かれているからである。
 これらのガイドラインでは、LABAの利益は気流の改善やSABAs使用の減少などβ-刺激剤の効果でおおむね示されていた。LABA(単独またはICSの併用)で、生存率があがることや深刻な喘息悪化の改善に影響したという研究はない。

 LABAに関するまだ答えられてない重要な質問は、ICSの併用使用で喘息関連死亡率が和らぐかということである。いくつかの解析ではLABA単独使用に比べて喘息関連した深刻な有害事象が減少したことを示しているが、ほかの解析ではそうではない。

 深刻な喘息悪化と喘息関連死はLABAsのみということではない。SABAsは喘息の悪化を起こし喘息関連死の原因となるということは、50年以上知られている。原因は明らかではないが、SABAsは気管支収縮刺激に対する感受性を増加し、すなわち喘息悪化の症状をマスクすると仮定されている。リスクを最小限にするため、現在の喘息治療のガイドラインではアルブテロールやほかのSABAsは短期間の症状緩和のみに使用し、SABAsの使用を最小限にするため喘息コントローラー薬を使用することを推奨している。気管支拡張作用の時間を除いて、LABAsとSABAsの基本的薬理学的活性と臨床的活動は同じである。そのためFDAはLABAsの長期使用を薦めることに矛盾があると信じている(LABAsが喘息関連死のリスクを上げるのならば、なおさらである)。

LABAsの安全な使用のための新しい推奨を処方医師と患者に知ってもらうために、FDAはいくつかの行動をとろうとしている。

 ISC/LABAsの併用とICS単独治療と比べてのリスクを評価する臨床試験を実施することを、FDAはLABAsの製造者に要求するだろう。


注:
 喘息の治療のひとつに、β刺激薬があります。気管支を広げる作用があり、作用時間の違いから短期型(SABA)と長期型(LABA)に分けられます。以前からLABAの単独使用は危険といわれていましたが、吸入ステロイド(ICS)を併用すればいいというわけでもないようです。ただ、体感的にはLABAとICSの併用はかなり効果があります。患者さんの評価も高いです。

 記事で出ていたアルブテロールは別名サルブタモール(商品名はベネトリン)、サルメテロールは商品名セレベントです。ホルモテロールは経口では商品名アトックで、吸入では吸入ステロイド(ブデソニド)との合剤として商品名シンビコートと呼ばれています。日本でよく使われているSABAの一つ、プロカテロール(メプチン)はFDAの認可を受けていません。

 ICSとLABAの合剤でLABAの量を可変できる(fixed-doseではない)シンビコートはFDAの小児適応を受けていません。
http://www.gci-klug.jp/fxnews/detail.php?id=34698

 日本で使用できる’ fixed-dose combination product containing a LABA and an inhaled corticosteroid’ は、今のところアドエアのみです。
http://adoair.jp/

 しかし、現時点でシンビコートが小児で危険だとか、アドエアであれば絶対安全ということではありません。LABAは臨床的にはかなり有効ですが、注意して使うべきことには変わりありません。

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