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2010年4月15日 (木)

メトホルミンと青年期の肥満

Metformin Extended Release Treatment of Adolescent Obesity
A 48-Week Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial With 48-Week Follow-up
http://archpedi.ama-assn.org/cgi/content/abstract/164/2/116
Arch Pediatr Adolesc Med. 2010;164(2):116-123.

背景:メトホルミンは青年期肥満の治療薬として考えられている。しかし、長期的な対照研究は報告されていない。
目的:毎日48週間の塩酸メトホルミン徐放薬がプラセボと比べて、若者の肥満者たちのBMIを減少するかを試験する。
デザイン:他施設の任意抽出された、プラセボ対象の臨床試験
設定:2003年10月から2007年8月にかけて、Glaser Pediatric Researchの6施設で行われた。
参加者:肥満の(BMI95パーセンタイル以上)若者(13歳から18歳)が、治療群(39名)とプラセボ群に、無作為に割り当てられた。
治療:一ヶ月の導入期間の後、生活改善治療プログラムを受けた対象者らは、塩酸メトホルミン徐放薬一日一回2000mg48週間治療と同一のプラセボに無作為に選ばれた(比率は1:1)。対象者はさらに48週間追跡調査が行われた。
主要結果測定法:住居、性別、人種、民族性および年齢で修正したBMI変化をメトホルミン群とプラセボ群で比較した。
結果:48週間後、プラセボ群の修正BMIの平均(標準誤差)は0.2(0.5)増加し、メトホルミン徐放薬群では0.9(0.5)低下した(P=0.3)。この差異は治療中止後も12-24週にわたって続いた。身体組成・腹部脂肪およびインスリンインデックスに対する有意な効果は認めなかった。
結論:メトホルミン徐放薬は、生活改善治療プログラムを併用した場合、小さいが統計学的有意にBMIを減少させる。


コメント
 アブストラクトには記載されていませんが、治療中止後からその後48週目のBMIを比較してみると、治療群では0.5(0.5)の増加でプラセボ群では0.8(0.5)の減少で、逆の結果となりました。薬だけで永久に体質が変わるというわけではないようです。
 メトホルミンはビグアナイド系の糖尿病治療薬です。尿酸アシドーシスや低血糖が重篤な副作用だといわれていますが、今回の治療ではそういった副作用は出ませんでした(おなかの不具合などは出たようです)。
 日本での2型糖尿病の治療量はメトホルミン500-750mg/dayです。この実験での2000mg/dayがいかに多いかわかります。また、一日一回の投与ですむ徐放剤も日本では販売されていません。
 メトホルミンは2型糖尿病のみならず、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)にも効果があり、小児でも使用例があります(使用量まではわかりませんでした)。小児でも案外隠れNASHは多いと思われるので、今後メトホルミン治療の対象になるのでしょうか?
 小児のNASHの患者さんの生活を調べてみると、結構メディア漬けになっている人が多いと思います。この論文ではメトホルミン治療のほかにlifestyle intervention programを併用したと書いてありますが、小児の肥満治療は食事のみならずライフスタイルの変容も必要でしょう。プラセボ群で治療後にBMIが下がったのが気になりますが、ひょっとして「薬を飲んでもBMIが変わらない→プログラムどおりにライフスタイルを変えよう」と実行したのかもしれませんね。

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