小児科当直医マニュアル 改定第12版

2010年5月10日 (月)

32.DIC

序論で「何らかの基礎疾患の存在下において」が強調されている。VOD/TMAについて解説あり。

I 診断
序論に一部変更あり。「DICを起こしやすい疾患」の項が表に移行。

B 検査所見
「線溶系の亢進」が「凝固系マーカー」「線溶系マーカー」に分離。
「*感染症に伴うDICではフィブリノゲン低下・FDP/D-dimer増加は軽度であり注意を要する。*PTはDICのみならず、肝不全やビタミンK欠乏症などでも延長する。」が追加。

C 診断基準
 かなり変更されている。overt DIC/ non-over DICの言及が少なくなっている。「・・・特に症状の進行の早い小児DICにこの基準をそのまま適応すると診断が遅れる恐れがあるので、現実には多くの臨床家は診断基準を満たす前にDIC治療を開始している」などの記載あり。

D 病型
 「凝固優位型DIC」「線溶優位型DIC」の分類が、「線溶抑制型DIC(臓器傷害方、凝固優位型)」「線溶均衡型DIC(無症候型、中間型)」「線溶優位型DIC(出血型)」に変更。解説も変更あり。。

II 治療
A 基礎疾患の治療
 「最も重要なのは原因となっている基礎疾患の治療である」が強調文字。

B 抗凝固療法
 「前述のエキスパートコンセンサスでは病態別に推奨薬剤を示している」が追加。エビデンスレベルを示した表も追加。

C 抗線溶療法(トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸)
 「感染症に合併したDICなど線溶抑制型DICに対しては、臓器傷害や全身性血栓症などの重大な合併症をきたすため原則禁忌である。」が強調文字で追加。
 一部の症例[固形癌、腹部大動脈瘤、Kasabach-Merritt症候群、急性骨髄性白血病(ATRA非使用)]などでDICの出血に対して著効するが、ヘパリン類の併用とともに専門化のコンサルトが得られない場合は使用を控えたほうがよい。」が追加。

D 線溶療法[組織型プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)、ウロキナーゼ型PA(UK)]
 新しい項目、「致死的な血栓症に対しては例外的に線溶療法が行われる場合がある。」との記載あり(「例外的」が強調)。

E その他DICで使用される薬剤
 これも新しい項目。プロテインC,ウリナスタチンについて記載あり。遺伝子組換えトロンボモジュリンについては、新たに追加。

F 補充療法(輸血療法)
 「厚生労働省の血液製剤治療指針によると、次の場合に補充療法を行う。1)フィブリノーゲン≦100mg/dl 2)凝固因子活性≦30% 3)AT-III≦70%」が削除。「基礎疾患の治療と抗凝固療法を最優先し、出血や凝固異常を伴う急性DICによいて補充療法を併用する。敗血症に伴うDICなど線溶抑制型のDICは、臓器症状は強いが出血症状を呈することは少ないため、補充療法を必要としないことも多い。」が追加。

(1) 新鮮凍結血漿(FFP)
 適応基準が追加。「*後天性TTPの場合、FFPを用いた血漿交換が最も有鉤である。」が追加。
(2) 血小板輸血
 「著明な出血あるいは観血的処置が必要な場合が適応となる」が追加。「TTP類似の病態を合併する場合には、血漿交換なしにPC投与を行うと症状が急速に増悪することがあるため注意を要する」が強調文字で追加。

30.肝不全

I はじめに
A 定義
 表記が一部変わっている。
 「小児の特徴は・・・乳幼児では意識障害は遅れて出現し、早期の診断には役立つとは限らないことに留意する。凝固障害や各種肝機能検査値の推移をふまえ急性肝不全と診断する。」が「小児の肝不全の特徴は・・・乳幼児では診断しにくいので、凝固障害や肝機能検査値、画像所見の推移をふまえ急性肝不全と診断し、早期に治療を開始する必要があることである。」に変更。
B 分類
 「原因は年齢により異なり、感染症、薬剤自己免疫あるいは血液疾患、原因不明の頻度が高い。」が追加。

II 診断
 「凝固異常を伴う高度の肝機能障害を認めたら直ちに入院とする。急性肝不全と診断されればICU管理となる。集中治療室、感染免疫科、内分泌代謝科、神経内科、外科などと連携して、診断治療を行う」が追加。「超音波で肝萎縮や腹水所見などである。肝生検は慢性肝疾患の有無、肝壊死の程度や偽胆管増生、血管病変などの情報が得られ有用だが、出血の危険性があるので慎重に行う」が追加。

III 治療
A 治療の目的
 表記は異なるが、おおむね同じ。
C 全身管理
 アンモニアの対策で、硫酸ポリミキシンBおよびファンギゾンの経口投与が追加。
 「持続血液ろ過透析(CHDF)」が「持続血液ろ過透析(CHDF特に high flow CHDFが選択される)。」に変更。「肝性脳症、腎不全、凝固因子低下、電解質異常などの治療にはCHDFが必要で、PEXと組み合わせることが望ましい。そのため血液量1-4ml/mL/kg/分の得られるブラッドアクセスや大量の透析液を準備する。抗凝固療法としてフサンやオルガランを使用することが多い。」が追加。

IV 予後予測
 予測の指標が異なっている(表も)。画像診断や肝生検所見についても言及あり。「生体肝移植の場合、十分なインフォームドコンセントの手続きとともに生体ドナーの自主的な意志決定を確認。」が「生体肝移植の場合、十分なインフォームドコンセントの手続きとともに生体ドナーの自主的な意志決定を確認し、さらにドナーの適性検査を行わなければならない。時間的余裕が無いことが多いので無駄なく準備をすすめる。」が追加。

2010年4月30日 (金)

29. 川崎病

序論が大きく変更。

I 検査項目
 追加

II 急性期治療
A 免疫グロブリン療法
 重症度にかかわらず、投与量が2g/kg点滴静注に統一された。再投与で2g/kg投与のハードルも下がっている。IL-6についての記載は削除。
B アスピリン治療
 アスピリン30mg/kg/日が30-50mg/kg/日に変更。
 「解熱しCRPが落ち着けば」が「解熱し症状が落ち着けば」に変更。
C 免疫グロブリン療法不応例への対応
 新しい項目。
 ウリナスタチン、ステロイド(パルス療法を含む)、シクロスポリン、血漿交換、インフリキシマブが追加。神奈川こどもでは、「3回目以降も可能な限り免疫グロブリン製剤の追加投与にて解熱をはかっている」ということ。

III 巨大冠動脈瘤形成時の対応
 新しい項目。各種抗血小板薬、抗凝固薬に関する表も追加。

「急性期心臓障害の出現時」および「急性期の心臓検査時期」が削除。

27. クループ症候群

 序論で、「パラインフルエンザ、アデノ、RS、インフルエンザなどのウイルス感染による喉頭気管気管支炎の頻度が高い」で「喉頭気管気管支炎」が「喉頭炎」に変更。

 そのほか大きな変更なし。

27. アナフィラキシー

II 原因
 「アレルゲンエキスの注射(減感作療法)」が「アレルゲンエキスの注射(免疫療法)」に変更。

III 症状
 「消化器症状として嘔吐、下痢、下血などがある」の「下血」が削除。

V 治療
B 中程度以上
6. ステロイド
 コハク酸ヒドロコルチゾン(ソルコーテフ)が削除。デキサメサゾンの記載が追加。
7.H2ブロッカー(ファモチジンなど)の記載が削除。
C ショック
 「リンゲル液(ラクテック、ソルラクトD、ヴィーンD、ヴィーンF、など)で急速輸液。」が「生理食塩水あるいは糖を含まないリンゲル液(ラクテック、ヴィーンF、ソルラクトなど)で急速輸液(20ml/kg 5-20分)」と変更。
 「静脈確保が困難なときは骨髄輸液、状況により繰り返す」が追加。

コメント
 昨日受講したACLS-EPを受講しました。成人アナフィラキシーのコースでは、アドレナリンの反応が悪ければアドレナリンをどんどん増量していき、ついには持続点滴にまでなりました。

26. 気管支喘息の対症療法

II 外来治療
B 治療効果の評価、反復吸入
 「ここまでの処置で改善が乏しい場合には次のCあるいはD、またはその併用にすすむ。」が追加。(注:Cは「アミノフィリン静注、点滴」、Dはステロイド薬)
C アミノフィリン静注、点滴
 変更なし。テオフィリン血中濃度の測定によるloading量の記載もあり。
D ステロイド薬
 内服のプレドニゾロン(プレドニン)の上限について記載あり(最大50mg)。
 「・・・その内服が困難な場合はデキサメサゾン(デカドロン)エレキシル0.2-0.3mg/kgを1-2回分処方し、初回分を直ちに内服する。」が「・・・あるいはデキサメサゾン(デカドロン)エレキシルまたは錠剤(粉末)0.2-0.4mg/kg(最大14mg)を2回分処方し、初回分を直ちに内服、翌日にもう一回内服する。」に変更。
E 帰宅後の治療
 抗コリン薬についての項目が削除。
(4) β2刺激薬吸入
 「・・・硫酸サルブタモールあるいは塩酸プロカテロールの吸入を十分に安定するまで3-6時間ごとに反復する」が「・・・1日数回反復する」に変更。

III 入院治療
F ステロイド剤
 「初回はプレドニゾロン(水溶性プレドニンなど)あるいはメチルプレドニゾロン(ソル・メドロール)1-2mg/kg静注」が「1-1.5mg/kg(最大50mg)静注」に変更。

IV 呼吸不全
C 人工呼吸管理
 吸入麻酔薬で、「イソフルラン」の他に「セボフルランなど」が追加。

付:急性細気管支炎
 「アドレナリン(エピネフリン)の吸入やステロイドホルモンの使用を積極的に奨める根拠は無い」が「・・・積極的に奨める根拠は無いが、最近、高容量の両者併用の可能性を示した報告がある」が追加。根拠となる文献も追加。
Plint AC, et al.: Epinephrine and dexamethasone in children with bronchiolitis. N Engl J Med 360:2079, 2009.

2010年4月21日 (水)

25.未熟児・新生児急患入院時の処置

I 入院の準備
C 隔離を要する時
(1) NICU入院時
 「母体周産期麻疹より出生した児は個室隔離。」
(2) 児が正常児でない場合
 「水痘、結核、麻疹、百日咳(抗菌薬内服後5日間)の場合は母子別々に隔離。季節性インフルエンザ、風疹の場合は、母子分離せず母子を一緒に隔離。」が追加。

II 分娩立会い。
 立会いの基準:「胎児仮死」が「胎児心拍異常」に変更。「羊水過多・過少」が追加。
A 準備
 「吸引チューブは5,8,10,12Frを用意し」が「吸引チューブは10,12,14Frを用意し」に変更。用意するものに、パルスオキシメーターが追加。
B 蘇生
 図(新生児の蘇生法アルゴリズム)が追加。
C 児の評価
 「8点以上になるまで5分ごとに採点する」が追加。

III 種々の問題への対応
A 呼吸障害
(1) 呼吸窮迫症候群(RDS)
(iii) 循環不全を伴う場合、まずドパミン投与しさらに必要なら生食などを投与する記載が、まず生食投与し、あらに必要ならドパミンなどを投与すると変更。
(2) 胎便吸引症候群(MAS)
c治療
(ii) 全身管理
 「先天感染の否定ができるまではABPCを投与する」が「・・・アミノベンジルペニシリン(ビクシリン)に加え硫酸アミカシン(硫酸アミカシン)を投与する」に変更。
(6) 無呼吸発作
b 治療
 アミノフィリン(アプニション)2-6mg/kg静注後が5mg/kg静注後に変更。テオフィリン(アプネカット)の記載追加。

B チアノーゼ
診断:「95%を切るようなら検索が必要」が「生後1時間以降で95%を切るようなら・・・」に変更。
(2) 新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
 ドパミン、ドブタミンの量が変更。ミルリノン(ミルリーラ)や過換気アルカリ療法の記載が削除。

C ショック
(2) 治療
 ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ)5-10mg/kg静注が2-4mg/kg静注に変更。

D 低アプガールスコア
 「新生児仮死」の項目名が「低アプガールスコア」に変更。
(1)原因
 「早産児、母体薬物投与、不整脈(徐脈)、先天性神経・筋疾患」が追加。
(2) 診断
 細かな記載が追加。「低アプガールスコア=仮死ではない」と記載。
(3) 管理
 「心機能低下に関してはドミニン・・・、ドブトレックス・・・、ミリスロール。」の後に「のいずれかを投与する」が追加。

E 低酸素性虚血性脳症(HIE)
(1) 評価
表が「成熟新生児における無酸素性脳症の重症度分類(Sarnatら、1976)」から「HIEスコア(脳症の評価基準) Shankaran S,et al :N Engl J Med 353: 1574-1584, 2005)」に変更。

F 新生児けいれん
(1) 原因
 頻度の高い順に、記載が変更。細かくなった。
(2) 発作型
 「間代性発作、局所強直発作、全身性強直発作、ミオクロニー発作、スパズム、微細発作」に分類。epilepticとnon-epilepticについての記載あり。
(4) 治療
 「non-epilepticなけいれん、発作時脳波を伴わないけいれんは治療しない」が追加。

J メレナ(下血)、上部消化管出血
b 管理
 ファモチジン(ガスター)1mg/kg静注が0.5mg/kg静注に変更。

K 低血糖
(4) 治療
 大きく記載が変更。「20%の糖液静注はインスリン分泌を刺激し、血糖コントロールを不良にする」が追加。

(N ウイルス感染症)
 項目すべて削除。

O 多血症
b 症状
 「振戦、哺乳障害、黄疸」が削除「腎不全」が追加。

Q DIC
(3) 治療
 ナファモスタットメシル酸塩(フサン)0.1-0.2mg/kg/時が・・・0.06-0.2mg/kg/時に変更。「または低分子ヘパリン(フラグミン)75IU/kg/日(新生児での有効性は不明。血栓を伴うDICに用いる。AT III 依存性のためAT III 補充必要)。血小板輸血。重症例では新鮮血による交換輸血。」が追加。「AT IIIは150%を目標に大量投与する。」が削除。

コメント
 PPHNのNO吸入療法や、新生児けいれんのフェノバルビタール静注(ノーベルバール)の記載はありませんでした。
 ノーベルバールについては下をご覧ください。

http://www.nobelpharma.co.jp/works/ssjkrn_01.html

2010年4月19日 (月)

24.糖尿病性ケトアシドーシス

I 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とは
 病態生理の項目が追加。図も追加。

II 評価項目
 「DKAでは、臨床観察、検査結果の頻回かつ継時的な評価が必要不可欠である」が追加。
(3) 心電図モニター
 血清カリウムに関する記載あり。

III 治療
 「治療の目標は、脱水、ケトアシドーシス、高血糖を、脳浮腫などの合併症を生じさせることなく是正することである」がついか。

B インスリン療法
(1) 初期治療
 「one shot静注は行わない」が「one shot静注は原則として行わない」に強調文字に変更。
 インスリンポンプ(CSII)についての記載が追加。

D 合併症。
(1) 脳浮腫
 細かく変更あり。マンニトールを20分で投与が20分以上でかかて点滴静注など。
(2) 膵炎・横紋筋融解
 細かな解説が追加。

付:原因不明の低血糖を診察する場合の注意
 検査すべき項目で、遊離脂肪酸(FFA、NEFA)が追加。

23.急性副腎不全

序論で
 「・・・ストレス時には、通常の3倍程度のステロイドを内服するように指導している」が「・・・ストレス時には通常の3倍程度のステロイド薬を内服し、それが困難な場合には経静脈的なステロイド薬投与を必ず受けるように指導している」に変更。
 「生理量のステロイドとは、幼児以降ではヒドロコルチゾン換算で10-15mg/m2/日程度と考えられる。」が追加。

II 薬物療法
A 脱水、塩喪失所見のある場合
(2) 輸液
 「しかし、副腎不全の際は水中毒になりやすいので過剰にならないように急激な補正は避ける」が「副腎不全の際は水中毒になりやすいので、必ず24時間以上をかけて補正するように計画する。」に変更。

III マス・スクリーニング発見の新生児21-水酸化酵素欠損症
 一部記載変更あり。
 「経口用ヒドロコルチゾン(コートリル)100-200mg/m2/日」が「コートリル20-100mg/m2/日」に変更。

IV 急性副腎不全発祥の予防措置
 記載に変更あり。


22.急性腎不全

I 原因と鑑別
 「はじめから循環血液量の増加がある場合は、輸液負荷はかけない」が追加。

II 腎不全時の諸変化に対する処置
M 浮腫の項が削除。

III 腹膜潅流
B CAPD
 自動腹膜潅流装置のPAC-Xサイクラーが削除。

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